おおかみは羊の皮を被らない

仕事は大変!(side:美彩)

(side:美彩)

入社して数日。

小さい体で、一生懸命に働く。
コネがバレても、出来る事が少しでもあれば……きっと何かが違う気がするから。

「美彩ちゃん、遠矢が一緒にお昼を……」

目立たないように、気配を消して現れる墨。
私は威嚇するように睨んで、後ずさり。

「察して。」

私は一言残して、走り去る。

日も浅い。
ダメだ……頑張れるだろうか?

不安が襲う。
遠矢の足手まとい……嫌だ、そんなの絶対!!


察して欲しいと言ったのに。
墨は目立たない場所を選んで、終業後に私を送ると申し出た。

「遠矢の身に、危険なことはしないで。」

社長の遠矢が、私を会社に入れたのだと広まれば。
遠矢の立場を危うくするかもしれない。

「美彩ちゃん、遠矢が悲しむよ?」

それは。
遠矢には覚悟があるということ。

学校の時と同じ。
遠矢は、私との関係を公にしてもいいと思っている。

遠矢が悲しむ……

「分かっている……墨、あなたはこの状況をどう見る?」

墨の行動も不可解だった。
学校の時とは違う。多分、ここでは墨にも監視があるんだ。

「……俺に問うの?そうだね……二人とも空回りかな。俺の口出し出来ない事……壁を壊すのは、二人。だろ?」

「そうね。」


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