おおかみは羊の皮を被らない

妊娠(side:美彩)

(side:美彩)

私に触れた男性は解雇。それに係わった女性社員も。
遠矢の怒りは激しかったけど、墨が対応をしたみたいだし……大丈夫よね?

私は仕事を続けた。
裏方の、遠矢の信頼を得ている年配の方々との作業。

やりがいのある仕事で遠矢の手助けも出来るし、お昼も一緒。
夢のような時間は、あっという間に過ぎる。


「美彩、本家の事……呪いの事。俺の知っている限りを話す。」

そう言ったのは、仕事も感情的にも落ち着いた頃。
連れて行きたいところがあると言われ、着いたのは新築の家。

「俺たちの家だよ。」

私たちの、未来を共にする家。

嬉しそうな笑顔で私に手を差し伸べ。
手を繋いで、遠矢は夢を語りながら家を回る。

「台所は、俺が動きやすいようになっているよ。娘と一緒に料理するのもいい……想像したら誰にもやりたくないな。呪いと闘えないか?うぅ~~ん。子どもはどっちにしても、料理が出来るように俺が教えるんだ。旅には出さないけど。ふふ……美彩は、美味しそうに食べてくれるだけでいいよ?」

それって私……太りませんか?


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