おおかみは羊の皮を被らない

一つの終わり(side:來名)

(side:來名)


美彩、あなたは呪いと闘う。

“彼”が選ばなかった私との未来……
それが正しかったのか、私には分からない。私には、もう一つの未来があったから……

美彩、あなたの未来は一つ。


聞いて。
私の呪いの悲しみを。大上家の雑種が抱える呪いを……

“彼”の名前は、悠(はるか)。
魔女の家系が原因で、呪いの増幅『雑種』になった者。

学園が引き合わせたけれど、悠は呪いと増幅の原因になった魔女を憎み、復讐を誓って私に近づいた。
悠には私が一生の相手かどうかも分からず、常に呪いからの解放を望み……
私たちのお互いの想いは呪いのように、深まる愛情は真実を求め……
私たちの関係を作ったのは呪い。そして壊したのも……



「俺と付き合ってくれ。」

その告げる目に、愛情がないことは分かっていたの。
でも求めずにはいられない存在だと思った。

あなたの視線は鋭く、憎しみに闇を伴い……それでもその美しさに心を奪われた。
いつか本当に好きになってくれればいい。時間を共に過ごすだけでもいい。

「悠……」

告白をしたのはあなたなのに、私が甘えても決してキスをしない。
私に触れられることも、最初は嫌っていた。


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