取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
５
　翌日、仕事の休憩時間になると優維は水上に電話をかけた。
　だが、コール音のみで応答がない。
　知らない番号だから出てもらえないのかもしれない。留守録に繋がると、伝言を残した。

「お久しぶりです。根古間神社の優維です。確認したいことがあるのでまた電話します」
　彼からのコールバックはないまま日が暮れる。
　沈痛な空気の漂う家に帰って家事をこなし、翌日にはまた会社に行く。

　保護猫団体への問い合わせは回答が出揃った。すべてNO、該当の男はいないという。
　聖七からは出品者の情報はわからないという返答だけで、サイトのURLはなぜか送って貰えなかった。なんだかまた尋ねるのも気まずい。

　昼休憩になると優維はまた水上に電話をかけた。
　今度は話中だった。
　夕方にまたかけると、また話中だ。

　まさか。
　優維は眉を寄せた。
　着信拒否されているのだろうか。
　もやもやが重なる。

　今度の土曜日に家を訪ねてみよう。
　そう決めて帰宅した優維は、夕食のときに千景から意外なことを聞いた。
「ハワイに行く日程が早まった。今度の土曜日に出発する」
　早過ぎる。こんなに早くなるとは思わなかった。
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