取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「ぜひ拝見したいです」
「わかった。小さい頃の優維もかわいくてなあ」
「やめてよ、恥ずかしい」
 優維は慌てて止めた。

「今日の舞もSNSに上げるの?」
 話をそらそうとして聞いてみる。
「許可はもらってるからあとでアップするよ」

「世界に注目されたらどうする?」
「そうなればありがたいな」

「お守りを新規に作りたいと言っていた件は?」
 直彦がたずねる。
「二社まで絞ったのですが、まだ迷っています」

 優維は驚いた。
 父と話を進めていて自分にはなにも言ってもらえなかったようだ。
 以前は最初に話したかったと言ってくれたのに。今後は話してくれないのだろうか。

 平日は会社に行っているからか、彼も父も神社の仕事を免除してくれてばかりだ。
 いや、もしかしたら排除しているのだろうか。

「……外の掃除に行ってくる」
「熱中症に気をつけて」
「うん」
 千景に答えて社務所の外に出る。
 むわっとする熱気が肌にまとわりついて、ただただ不快だった。
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