BaD
「コラッ!木崎陸!!」
一瞬ドキッとした。
この前何も考えず空を眺めていたら、担任の先生に廊下に立たされてクラスの笑いものになったからだ。
でもすぐにその声は高坂恵理、えっちゃんのモノだとわかった。
「みんなはとっくに帰ったぞ、いつまでここにいるつもりだ?」
ばれているのが分かっているくせに、彼女はまだおどけていた。
彼女とは幼馴染みで、こんな冗談ばかり言っていた。
「ごめんなさい、先生。」
そんな彼女の冗談に付き合う僕もまた、冗談っぽい性格だったのであろう。
彼女の肩を軽く叩いて帰ろうか、と合図した。