27センチ
無邪気な横顔
触れた指先
「はい、遅刻〜。」
休憩室へ駆け込んできた学生バイトの男の子を、
シフト表の挟まったファイルでバシンと叩いた。
そのあとの無邪気な笑顔に、
わたしの胸は大きく反応する。
彼は、河口祐介。28歳。
わたしの、はじめてのバイト先の店長。
わたしの、はじめて好きになった人。
「えぇ〜!今のはセーフでしょ店長!」
叩かれた男の子は、私と同じ高校一年生の遠藤くん。
確か、隣の高校だったかな。
一応本気で走ってきたらしく、荒い息を整えながら抗議していた。