27センチ

その幸せはあっという間に終わってしまったけど。

「てんちょ〜、レジ金両替したいんですけどぉ」


お店から、声がかかると、店長は「おお」と軽い返事をした。


自然と離れた手を名残惜しそうに見つめてたの、バレなかったかな。




「じゃ、着替えたら出てこいよ。」


そう言って一足先に休憩室を後にした店長は、やはりとても大きかった。

きっとわたしには、他の誰よりも更に大きく見えている。






トビラを閉める瞬間に、「あ〜よかった。今日のトイレ掃除当番オレだったんだよなぁ。」

なんて捨て台詞も私には愛しくて仕方がなかった。

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