いつまでも、夢見せる王子じゃいられない
それぞれの進路
練習が終わり、バンドメンバーは部室で軽く談笑していた。
「そういやさー」
ギターをケースにしまいながら、樹里 が何気なく話を切り出した。
「この前、Beat Cellar 行ったら、真琴と遼がデートしててさぁ」
「……は?」
詩音が興味津々で顔を上げる。
「マスターも ‘真琴が最近よく来てる’ って言ってたし、こりゃもうガチで付き合ってるなーって」
ニヤリとしながら話す樹里に、詩音は期待を込めた目を向けたが——
「……別に驚くことじゃないでしょ?」
早紀 が冷静に返した。
「え?」
樹里は少し拍子抜けして、真琴を見た。
「いや、お前らも、もっとこう ‘えー!? いつから!?’ みたいな反応ないん?」
「いや、むしろ ‘ようやく’ って感じだよね?」
詩音が言う。
樹里はしばらく黙った後、斜め上に視線を投げた。
「確かに、今さら感あるか……。」
「でしょ?」
詩音がニコリと笑う。
「でもまあ、良かったじゃん、マコっちゃん。公認カップルってことで。」
真琴は少し照れくさそうにしながらも、特に否定はしない。
「で、チャット投げた話題だけどさ——」
「卒業まであと半年くらいだけど、みんな進路どうするん?」
「早紀は受験でしょ?」
詩音が早紀を見て言うと、彼女は静かにうなずいた。
「ええ。今までも両立してきたけど、本格的に勉強に集中するから、しばらくバンドは抜けるつもり」
「でも、受験終わったら戻るってことでいいんよね?」
樹里が確認すると、早紀は迷いなく「もちろん」と返す。
「私にとっても ‘桜影’ は大事だから」
「そっか」
真琴は少し安心する。
「じゃあ、詩音は?」
「ウチはこのまま音楽続けるよ! 音楽ボランティア続けながら、オーディションも受ける!」
「やっぱそうなるよなー。」
樹里は笑う。
「そんで、マコっちゃんは?」
真琴は一瞬、言葉を探したが、しっかりと答えた。
「音楽系の専門学校に進んで、バンドも続ける」
「ほほう?」
詩音が笑う。
「真琴、音楽でプロ目指す気になった?」
「……それはまだ分かんない。でも、やれるだけやりたい」
「そっか。まあ、真琴らしいな」
「んで、樹里は?」
「ウチ? うーん、大学には行くかなー。でも、バンド辞める気はない」
「じゃあ、みんな ‘桜影’ は続けるってことで決定ね!まあ、受験期間は一旦活動休止ってことになるけどね。」
詩音の言葉に、全員がうなずいた。
「進路はバラバラになっても、練習とかライブは調整できるでしょ?」
早紀が言うと、樹里も「確かに」とうなずく。
「バンドって、いつか ‘終わり’ が来るもんだって思ってたけど……」
真琴は、ふとつぶやく。
「続けられるなら、やれるだけやってみたい。」
「うん!」
詩音が笑顔で頷いた。
「だって ‘桜影’ はまだ終わらないからね!」
早紀が力強く言うと、全員が視線を交し合った。
「そういやさー」
ギターをケースにしまいながら、樹里 が何気なく話を切り出した。
「この前、Beat Cellar 行ったら、真琴と遼がデートしててさぁ」
「……は?」
詩音が興味津々で顔を上げる。
「マスターも ‘真琴が最近よく来てる’ って言ってたし、こりゃもうガチで付き合ってるなーって」
ニヤリとしながら話す樹里に、詩音は期待を込めた目を向けたが——
「……別に驚くことじゃないでしょ?」
早紀 が冷静に返した。
「え?」
樹里は少し拍子抜けして、真琴を見た。
「いや、お前らも、もっとこう ‘えー!? いつから!?’ みたいな反応ないん?」
「いや、むしろ ‘ようやく’ って感じだよね?」
詩音が言う。
樹里はしばらく黙った後、斜め上に視線を投げた。
「確かに、今さら感あるか……。」
「でしょ?」
詩音がニコリと笑う。
「でもまあ、良かったじゃん、マコっちゃん。公認カップルってことで。」
真琴は少し照れくさそうにしながらも、特に否定はしない。
「で、チャット投げた話題だけどさ——」
「卒業まであと半年くらいだけど、みんな進路どうするん?」
「早紀は受験でしょ?」
詩音が早紀を見て言うと、彼女は静かにうなずいた。
「ええ。今までも両立してきたけど、本格的に勉強に集中するから、しばらくバンドは抜けるつもり」
「でも、受験終わったら戻るってことでいいんよね?」
樹里が確認すると、早紀は迷いなく「もちろん」と返す。
「私にとっても ‘桜影’ は大事だから」
「そっか」
真琴は少し安心する。
「じゃあ、詩音は?」
「ウチはこのまま音楽続けるよ! 音楽ボランティア続けながら、オーディションも受ける!」
「やっぱそうなるよなー。」
樹里は笑う。
「そんで、マコっちゃんは?」
真琴は一瞬、言葉を探したが、しっかりと答えた。
「音楽系の専門学校に進んで、バンドも続ける」
「ほほう?」
詩音が笑う。
「真琴、音楽でプロ目指す気になった?」
「……それはまだ分かんない。でも、やれるだけやりたい」
「そっか。まあ、真琴らしいな」
「んで、樹里は?」
「ウチ? うーん、大学には行くかなー。でも、バンド辞める気はない」
「じゃあ、みんな ‘桜影’ は続けるってことで決定ね!まあ、受験期間は一旦活動休止ってことになるけどね。」
詩音の言葉に、全員がうなずいた。
「進路はバラバラになっても、練習とかライブは調整できるでしょ?」
早紀が言うと、樹里も「確かに」とうなずく。
「バンドって、いつか ‘終わり’ が来るもんだって思ってたけど……」
真琴は、ふとつぶやく。
「続けられるなら、やれるだけやってみたい。」
「うん!」
詩音が笑顔で頷いた。
「だって ‘桜影’ はまだ終わらないからね!」
早紀が力強く言うと、全員が視線を交し合った。