The previous night of the world revolution5~R.D.~
「デモって…。どういうことだ…?」

ミヤノが、呆然として尋ねた。

俺達全員、同じ気持ちだった。

今日は『frontier』のライブの日でしょ?

デモって何?立てこもりって?刃物を持って?

「犯人は『天の光教』の信徒だそうです。プラカードを持って、入り口に座り込んでます。ホールに誰か入れたら、容赦なく傷つけると…」

「『天の光教』…?」

聞いたことがある。

なんか…最近巷で流行ってる新興宗教なんだよね?

yourtubeやTwittersのトレンドにも上がってた…。

それがどういうものなのかは、よく知らないが…。

「じゃあ、今日のライブはどうなるの?」

きょとん、と首を傾げるベーシュさん。

「わ、分かりません…。ホールに入れない観客達が暴動を起こすかもしれなくて…これから責任者と話し合って…それから、立てこもり犯をどうするか…」

「そう。立てこもってる人に出ていってもらえば良いんだね。分かった」

ベーシュさんは、何故かやる気に満ちた顔で袖を捲り上げた。

ちょ、ちょっと。

「む、無茶ですよベーシュさん。相手は10人いて、しかも刃物を持ってるって…」

「大丈夫。私、20人は素手で行ける」

逞し過ぎる。

なんか本当にもうベーシュさんに任せて良いんじゃないか、と馬鹿なことを考えた、そのとき。

「…これは何の騒ぎですかねぇ」

身体も魂も、芯から冷えきるほどに絶対零度の声。

死神のような、全身真っ黒の衣装を身につけた男性。

我らが『frontier』の熱烈なファンでもあり、同時に絶対に逆らえない「上の人」。

ルティス帝国の死神が、姿を現した。
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