The previous night of the world revolution5~R.D.~
俺は、品定めをするように彼女の全身を見つめた。

ルルシーもまた、真剣な眼差しで壇上の女を見つめていた。

「…どう思う、ルレイア」

「…そうですね…。歳の割には、なかなか良い顔をしてます。うちの店で使っても良いくらいです」

「違う。そういう意味じゃない」

え?何か言った?

「ただ、パンフのプロフィールに載ってた年齢、あれは詐称ですね。肌の艶と顔の小皺を見る限り、実年齢より5歳はサバ読んでます」

「そんなことはどうでも良いんだよっ。ってかお前視力良過ぎだろ!何処まで見えてんだ」

このルレイア・ティシェリー。

女を見る目だけは、誰にも負けないつもりだ。

服の上からでも、ばっちりスリーサイズを当てられるぞ。

もし、この俺が女のスリーサイズを見間違うようなことがあったら、ご先祖様に申し訳ないからな。

「見た目の話じゃなくて、印象の話だ。くせ者に見えるか?」

「見えますね」

「…やっぱり、お前もか」

ルルシーもそう思った?

『天の光教』の教祖だという先入観があるから、余計にそう見えるのかもしれないが。

これでも裏社会の人間なので、怪しい者を見抜く目は鍛えてある。

もしかしたら、教祖はただの傀儡で、裏で意図を引いてる摂政様がいるんじゃないかと思ったが…。

この女の顔を見る限り、それはなさそうだな。

見るからに、何かを企んでる顔だ。

残念だが、俺の目は騙せないぞ。

特に女はな。

「皆さん。今日は本講演の為にたくさんお集まり頂きまして、本当にありがとうございます。この光景を見て、きっと天にいらっしゃる神様もお喜びのことでしょう」

いきなり喋り始めたぞ。

白々しい。何言ってんだ。

天に神がいたとして、世界は広いんだから、ここをピンポイントに凝視してる訳ないだろ。

自意識過剰か。

「私は今日、畏れ多くも神の代弁者として、皆さんにお話しさせて頂きます。願わくば、今日皆さんがお帰りの際、一人でも神の教えに導かれる者、神の愛に触れる者が増えますように…」

悪いがお断りだ。

神の愛なんざ、腹の足しにもならないようなものは、糞でも食らっとけ。
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