The previous night of the world revolution5~R.D.~
帝国騎士団では、毎週一回、全ての隊長達が集まって、会議を行う。
しかしここ最近は、週に一度どころではない。
毎日、もしくは一日に二回以上、会議が行われることもあった。
それというのも、ルティス帝国に病魔のように蔓延する、不況の波。
それだけでも、俺達にとっては頭痛の種なのに。
加えて、ルティス帝国には、『天の光教』なる宗教団体が現れた。
この存在が致命的であった。
こいつらは、頭痛の種どころではない。
俺達の胃に穴が開くとしたら、それは間違いなく、こいつらのせいだ。
そして、調子を狂わされる要因が、もう一つ。
これは、大変個人的なことなのだが…。
「それでは、これより今日の定例会議を始める」
「…」
オルタンスは、いつもの抑揚のない声で、手元の資料を見ながら、今日最初の報告を始めた。
「今日の議題は…と言うか、今日も、だが…。『天の光教』についてだ」
…まぁ、それ以外話すことなんてないよな。
「連日続いているデモが、昨日も起きた。今度は帝都にある劇場だ。この劇場は、時の皇帝であったアルティシア様の曾祖父が建立したものらしい」
「…ふーん…」
狙われるべきところが狙われた、って感じだな。
奴らのデモは、主に王侯貴族が建立した施設や、その王侯貴族が利用する娯楽施設、商業施設に狙いが絞られている。
そのせいで、デモを恐れた国内の多くのブランド店が、営業をやめ、シャッターを固く下ろしている。
無理もないことだ。
帝立施設も、警備を増やしてはいるが…全てを守りきれる訳でもなし。
「…怪我人は?」
「ない。30分ほど占拠して、警備隊に追い払われたそうだ」
それは不幸中の幸いだな。
今のところ、度重なるデモ行為で負傷者は出ていない。
しかし、いつ負傷者が出るかと、毎日気が気ではない。
負傷者…ましてや、死者が出てみろ。
『天の光教』は、政府が信徒を殺した、と声を大にして宣言することだろう。
そうすれば、どうなるか。
国民達の溜まった反政府感情が爆発し、ただでさえ不利な俺達は、一気に追い込まれることだろう。
…全く、冗談じゃない。
しかも。
「ルティス帝国の名門貴族の邸宅周辺に、『天の光教』の信徒らしき人物が何名か、不審な動きをしているところも目撃されている」
「…」
「貴族の中には、国民の暴徒化を恐れて、外国への亡命を模索する者も…」
「…なぁ、オルタンス」
「うん?」
どうしても、どうしてもツッコみたいことがある。
個人的に、俺はこれが気持ち悪くて気持ち悪くて仕方ないのだ。
ずっと我慢してたけど、やっぱり言おう。
「お前、真面目になろうと思えばなれたんだな」
「…」
ルーシッドが、ぶはっ、と噴き出した。
しかしここ最近は、週に一度どころではない。
毎日、もしくは一日に二回以上、会議が行われることもあった。
それというのも、ルティス帝国に病魔のように蔓延する、不況の波。
それだけでも、俺達にとっては頭痛の種なのに。
加えて、ルティス帝国には、『天の光教』なる宗教団体が現れた。
この存在が致命的であった。
こいつらは、頭痛の種どころではない。
俺達の胃に穴が開くとしたら、それは間違いなく、こいつらのせいだ。
そして、調子を狂わされる要因が、もう一つ。
これは、大変個人的なことなのだが…。
「それでは、これより今日の定例会議を始める」
「…」
オルタンスは、いつもの抑揚のない声で、手元の資料を見ながら、今日最初の報告を始めた。
「今日の議題は…と言うか、今日も、だが…。『天の光教』についてだ」
…まぁ、それ以外話すことなんてないよな。
「連日続いているデモが、昨日も起きた。今度は帝都にある劇場だ。この劇場は、時の皇帝であったアルティシア様の曾祖父が建立したものらしい」
「…ふーん…」
狙われるべきところが狙われた、って感じだな。
奴らのデモは、主に王侯貴族が建立した施設や、その王侯貴族が利用する娯楽施設、商業施設に狙いが絞られている。
そのせいで、デモを恐れた国内の多くのブランド店が、営業をやめ、シャッターを固く下ろしている。
無理もないことだ。
帝立施設も、警備を増やしてはいるが…全てを守りきれる訳でもなし。
「…怪我人は?」
「ない。30分ほど占拠して、警備隊に追い払われたそうだ」
それは不幸中の幸いだな。
今のところ、度重なるデモ行為で負傷者は出ていない。
しかし、いつ負傷者が出るかと、毎日気が気ではない。
負傷者…ましてや、死者が出てみろ。
『天の光教』は、政府が信徒を殺した、と声を大にして宣言することだろう。
そうすれば、どうなるか。
国民達の溜まった反政府感情が爆発し、ただでさえ不利な俺達は、一気に追い込まれることだろう。
…全く、冗談じゃない。
しかも。
「ルティス帝国の名門貴族の邸宅周辺に、『天の光教』の信徒らしき人物が何名か、不審な動きをしているところも目撃されている」
「…」
「貴族の中には、国民の暴徒化を恐れて、外国への亡命を模索する者も…」
「…なぁ、オルタンス」
「うん?」
どうしても、どうしてもツッコみたいことがある。
個人的に、俺はこれが気持ち悪くて気持ち悪くて仕方ないのだ。
ずっと我慢してたけど、やっぱり言おう。
「お前、真面目になろうと思えばなれたんだな」
「…」
ルーシッドが、ぶはっ、と噴き出した。