The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルレイア

─────…ただでさえ、不景気であっぷあっぷしてるわ。国民からの批判は高まるわ。

挙げ句『天の光教』なんてものまで現れて、その対応にてんやわんや。

総勢10名の帝国騎士団隊長達は、揃って疲れた顔を晒していた。

あー。俺帝国騎士団やめてて本当に良かった。

俺までこんな顔になったら、お肌に悪いもんな。

良い顔つきになってきたじゃないか、お前ら。

ざまぁ。

「全くお気の毒ですねぇ。うぷぷ。不景気に加えて、『天の光教』にまでちょっかい出されて。ぷふふ。これも日頃の行いって奴ですかねぇうぷぷぷ」

「こら、ルレイア…。煽るな」

いやん。

ちょっとしたお茶目って奴じゃないか。

アストラエアやユリギウスが、良い感じに苛立っているのが伝わってきて、もう爽快感半端ない。

事実だから何も言い返せまい。

「…確かに、『天の光教』には手を焼いているところだ」

「こうしている間にも、ま~た何処かでデモやってるかもしれませんね」

「そうだな」

王侯貴族を許すなー!神に帰依せよー!ってな。

最早デモを越えて、テロだろ。

「それであなた達、どうするつもりなんです?このまま放っておいたんじゃあいつら、まだまだ調子に乗りますよ?」

「これからどうするつもりか…。我々が聞こうと思っていたんだがな」

そんなことだろうと思った。

だから呼び出したんだろう?わざわざ。

「…それはフェアじゃないですね」

お前ら、俺達を友達だとでも思ってんのか?

「俺達の動向を聞きたいなら、まずそちらから話すべきでしょう。『青薔薇連合会』は、帝国騎士団の敵なんだから」

それを忘れるなよ。

俺達は、ここぞとばかりに『天の光教』と手を組んで、帝国騎士団を潰しにかかることも出来るんだぞ。

まぁ、その前に俺が『天の光教』に喧嘩売っちゃったから、その可能性は潰えたんだが。

「そーだそーだ!そっちが先に言え!味方を知るにはまず敵からって言うだろ!」

「アリューシャ、それ逆」

ちょっと惜しかったな。

でも言いたいことは伝わる。

「…確かに、その通りだな」

「…!オルタンス殿、『青薔薇連合会』に我々の方針を話すつもりですか?」

頼りない俺の後釜、名前は確かルーシッド…が、オルタンスに声をあげた。

何だよ。話すべきじゃないってか?

「こちらが腹を明かさないのに、彼らが何か話してくれるはずがないだろう」

「そ、それはそうですが…。でも、万一『青薔薇連合会』が『天の光教』に寝返ったら…」

おーおー、良い着眼点だねぇ、若造。

俺達が寝返ったら怖いねぇ。

良いぞ、存分に疑心暗鬼に陥るが良い。

これほど見ていて楽しいものはない。

にやにやしながら彼らを見ていると、ルリシヤとシュノさんが。

「…ルレイア先輩。見習いたくなる良い顔だな」

「この余裕たっぷりの表情…。さすがルレイア。素敵…」

「…あのな、お前ら…」

呆れるルルシー。

良いじゃないか。こいつらが右往左往してる様は、サーカスでも見てるかのように面白い。

「ルーシッド。もし『青薔薇連合会』が『天の光教』と手を組む気なら、ハナから我々に勝機はない」

オルタンスは、きっぱりとそう言った。

「ならば、初めから腹を割って、『青薔薇連合会』を味方につけることを考えるべきだ」

「…オルタンス殿…」

…さすが、帝国騎士団長様。

話が分かるじゃないか。
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