The previous night of the world revolution5~R.D.~
この時点で、俺達『青薔薇連合会』に腹の内を明かす。

良い判断だ。

オルタンスの言う通り、俺達を味方につけられなければ、国民に背を向けられつつある帝国騎士団は、国内で孤立する。

ならば一か八かでも、俺達を味方につけることを考えるべきだ。

正解だよ、オルタンス。

命拾いしたな。

「で?どうするんです。帝国騎士団は」

「…ルレイア。元帝国騎士のお前なら、もう分かってるんじゃないのか」

「…ふふ」

言うじゃないか。

あぁ、分かってるよ。

これでも俺達、お互い帝国騎士官学校のOBだからな。

「いくら世論が『天の光教』に傾こうと、決して彼らには屈しない。貴族制度や王政を廃止するつもりもないし、『天の光教』に政権を明け渡すつもりもない。そうですね?」

「あぁ。我々は断固として、『天の光教』のデモ行為を認めない」

…そうだろうと思った。

そうだろうと思ってたよ。

だって、そうするしかないもんね。

何千年もの歴史を紡いできた、ルティス帝国王侯貴族制度。

一時の国民感情の揺らぎに流されて、怪しげな新興宗教に、国を託す訳にはいかない。

そんなことになれば、オルタンス達も女王アルティシアも、歴史の笑い者だ。

まぁ、俺はこいつらがいくら笑い者にされようと、一向に構わないし。

むしろ、笑い者になれば良いと思っているが。

箱庭帝国ならまだしも。

ルティス帝国に、革命は必要ない。

「無論、最大限の譲歩はするつもりだ。宗教団体としての活動を否定するつもりはないし、国民感情にも、可能な限り応えるつもりでいる」

「ふーん…」

落ち着くところに落ち着いた、って感じの結論だな。

まぁ、そうするしかないだろう。

『天の光教』の言いなりにはなれない。

でも、真っ向から『天の光教』を否定してしまえば、国民から批難される。

最大限の譲歩という形で、国民の怒りを沈静化しつつ。

貴族制、王政は守る。

優柔不断と言うか、狡猾と言うか…。

無難な判断ではある。

そして、最も正しい判断でもある。

革命革命と、簡単に言うが。

口で言うほどに、簡単なことではない。

箱庭帝国のような小国でさえ、革命から現在の復興まで、どれだけの時間を要した?

ルティス帝国は箱庭帝国より遥かに領土が大きく、人口も多い。

不景気が続く今、もし政府が揺らぐことがあれば…革命後の大きな混乱は、火を見るより明らか。

ルティス帝国が右往左往している間に、この機を逃すなとばかりに、他国に攻め入られる可能性だってある。

何があっても、秩序は維持しなければならない。

ルチカ・ブランシェットのみがまとめている『天の光教』に、その能力があるとは思えない。

「…その上で、『青薔薇連合会』はどうする?」

「…」

「我々としては、『青薔薇連合会』を敵に回したくはないが」

…だろうね。

だから、俺は言ってやるのだ。

「…悪いですが、俺達は『天の光教』と組むことにしました」
< 160 / 627 >

この作品をシェア

pagetop