The previous night of the world revolution5~R.D.~
敵対する組織のトップがお互いに顔を合わせるという、思いきったこの計画を立案したのは。

先日共闘を約束したばかりの、『青薔薇連合会』である。

と言うか、ルレイアの一言である。

「俺達もルチカ教祖に会ったんだから、あなた達も会うと良いですよ」という。

この、何とも簡単な、そして度胸の要る一言。

お前簡単に言うけど、多分そんなに簡単じゃないぞ。

まずルチカ・ブランシェットが会談に応じるかどうか分からない。

『天の光教』は、王政の象徴とも言える帝国騎士団を目の敵にしている。

俺達は言わば、彼らにとって敵の総大将。

俺達と違って武力を持たない『天の光教』が、みすみす敵の巣穴の中に入ってくるとは思えなかった。

それでも、駄目元で交渉してみた結果。

俺達の心配をよそに、ルチカ・ブランシェットは快諾した。

それを聞いたルレイアは、「パフォーマンスでしょうね」と呟いた。

俺もそう思う。

「教祖たる自分は、帝国騎士団をも恐れない」という強い意思を、信徒達に見せつけようとしている。

熱心な信徒達は、勇気ある教祖の決断に感動し、ますます信仰心を深めるだろう。

これでもし、ルチカ教祖の身に何かあれば。

残された『天の光教』は、正しく革命の暴徒と化するだろう。

教祖の思う壺だ。

それだけは避けなければならない。

何としてでも、ルチカ・ブランシェットの真意を探る。

その決意を持って、俺達は会談に臨んだ。
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