The previous night of the world revolution5~R.D.~
「あーあ…。盛大にやらかしてますね、これは…」

俺は、半笑いでスマートフォンを見つめた。

最新のネットニュースには、でかでかと大きな見出しがつけられていた。

「『天の光教』信徒六名、デモ行為で逮捕」と。

実に分かりやすい。

「とうとう逮捕者が出たね」

「宣言してましたからね。次からは容赦しない、って」

有言実行だ。

次は逮捕されると分かっていて、『天の光教』はデモを決行した。

今回のデモの会場は、王都の貴族やVIP達が宿泊する、ルティス帝国有数の帝立ホテル。

俺達も、何度か利用したことがある。

一泊するだけで、一般市民の数ヶ月分の給料が吹き飛ぶ、自他共に認める高級ホテルだ。

デモの標的に選ばれても、おかしくはない。

で、案の定『天の光教』の奴らはノコノコとこのホテルに入り込み、デモを行った。

その結果、帝国騎士団の権力が牙を剥いた。

デモ行為を行った六人が、逮捕されてしまったのだ。

「ほへー…。勇気あんねぇ。逮捕されるって分かってて突撃するなんて」

アリューシャもびっくり。

「脅しだとでも思ってたのかしら?」

「さてな。脅しでも何でも、効果は抜群のようだぞ」

ルリシヤが、別のサイトの最新ニュースを見せてくれた。

サイトの掲示板は、酷い荒れ模様だった。

「うわぁ、荒れてる荒れてる」

ちょっと上の方から抜粋してみようか。

『許せない。帝国騎士団死ね!』

『何で逮捕?デモは犯罪じゃないだろ?』

『とうとうやりやがったwこれは荒れるw』

『有り得ない。国民を敵に回した』

等々。

いやぁ、予想はしていたけど、ここまでとは。

「めちゃくちゃ批判されてますね、帝国騎士団。明日の新聞は面白いことになりそうです」

全社買わなきゃ。新聞。

そして額縁に入れて飾っておこうぜ。

貴族派じゃなくて、国民派の新聞を読もう。

きっと、帝国騎士団は凄まじい批判に晒されることだろう。

良いねぇ。煽られろ煽られろ。

帝国騎士団が憂き目を見るのは、小気味良い。

「この六人、どーなるの?ブタ箱で臭い飯食うの?」

「二~三日は拘留されるだろうが…その後は解放されるだろう」

有罪に出来るほどの罪じゃないからね。

それにしても、このセンセーショナルなニュースは、燻っていた国民感情を一気に爆発させたはずだ。

今夜にでも、帝国騎士団がまたしても晒し者になる姿を、見ることが出来るだろう。
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