The previous night of the world revolution5~R.D.~
「ドカンと一発って…?どういうこと?ルレイア」

と、シュノさん。

よくぞ聞いてくれた。

「我々一人ずつ、何かお高いものを購入するんですよ。そしてその後にお互い何を買ったか見せ合うんです」

「成程…!面白そうね、ルレイア」

シュノさんは興味津々。

「ふむ…。確かに、こんなときだからこそ、ルティス帝国の富裕層である私達が、積極的な投資をするべきだね」

アイズも同意。

よしよし。良い感じ。

「皆がお金を使えば、ケーキ屋を守れるんだろ?ならアリューシャは賛成!」

アリューシャも乗ってきた。

そして。

「良い考えだ。微力ながら、俺も協力させてもらおう」

ルリシヤも同意。さすが話の分かる男。

しかし。

「…あのな、ルレイア」

俺の愛しい花嫁だけは、渋い顔だった。

「そういうのを、無駄遣いって言うんだぞ。いくら金には困ってないからって、必要もないのに散財するなんて…」

うんうん、正論だ。

「まぁまぁ、ルルシー。全く必要のないものを買う訳じゃないんですから。それぞれ、欲しかったけど、なかなか手が出なかったものを、この際買っちゃおうって企画ですよ」

「だからってな…。この不景気なときに無駄遣いは…」

「不景気だからって皆が溜め込んじゃうから、余計不景気になるんじゃないですか」

「…それはそうだが…」

「貧すれば鈍する、って言うでしょう?不景気だからこそ、我々だけは景気良くいましょうよ。それが出来る立場なんだから」

本当にお金がなくて、生活にも困っている人ならともかく。

俺達は余裕があって、不景気だろうと別段困ることはないのだから。

そういう人間こそ、今こそ経済貢献すべきなのだ。

何より俺、今暇だし。

何か楽しいことしたい。パーッと贅沢してさ。

「…仕方ないな。分かったよ」

ルルシーは、渋々ながら頷いた。

やったー。ルルシー大好き。

「…でも、ルレイア」

「はい?」

ルルシーがこっそりと、俺に耳打ちしてきた。

「アリューシャまで企画に加えるのは危険だぞ。あいつには経済観念ってものがないし、両手がなければ数も数えられないんだから」

あー…。

アリューシャのことは、アイズが放っておかないとは思うけど。

「下手に金使わせて、金塊山ほど買ってきたりしたら…」

「大丈夫ですよ、ルルシー」

心配は要らない。

俺は、ちょいちょい、とアリューシャを指差した。

アリューシャは嬉しそうに、アイズと話していた。

「アリューシャ贅沢買いする!ポテチをな、ポテチを段ボール箱で買う!あと、サーティツーでアイストリプル頼む!」

「うんうん、冷たいものばかり食べちゃ駄目だからね~」

なんて平和な光景だろう。

アリューシャにとって「贅沢」とは、ポテトチップス一箱なのだ。

そんな人間が、金塊山ほど買ってくると思うか?

それに何より、アリューシャのことはアイズがしっかり面倒を見るだろう。

「…成程。心配要らないな」

「でしょ?」

俺達は心置きなく、贅沢な買い物を楽しむとしよう。
< 18 / 627 >

この作品をシェア

pagetop