The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルレイア

──────…相変わらず心配性のルルシーは、俺とルリシヤの新店舗について心配してくれたが。

これが、案外大丈夫そうなのだ。

「大丈夫ですよ」

「…?根拠は?」

根拠?そうだな…。

「嬢の最終面接は、俺が直接『実技試験』しますから。下手くそな女は一人もいない、最高の品質を約束します」

「お前は最低だな」

酷いわルルシー。

良いじゃないか。今まで俺の店で働いてきた嬢は、全員俺の「実技試験」をクリアしてきた精鋭達だぞ。

ほら、やっぱり「食べ物」を扱う店だからね。

品質の管理はちゃんとしておかないと。

「それにな、ルルシー先輩。世間は『天の光教』の話題ばかりで、全然ニュースになってないが…。実は、悪化傾向だったルティス帝国の経済、回復してきてるんだぞ」

「え?」

あら、ルルシー知らなかったのね。

駄目だよ。マフィアたる者、国家の経済状況は把握しておかなきゃ。

「そうなのか?ルレイア」

「えぇ。経済が悪化し始めた初期に、帝国騎士団が行った経済政策が、ようやく実を結び始めたんですよ」

それなりの時間はかかったものの。

帝国騎士団の経済状況は、少しずつ回復傾向にある。

『天の光教』のせいで、全然ニュースにされてないけどな。

皮肉なもんだ。

経済状況の悪化のせいで、こんなにも『天の光教』が広まり。帝国騎士団を諸悪の根源と責め立て。

その経済状況が、ようやく回復してきたというのに、誰も気に留めようとしない。

景気を回復させたのは、間違いなく帝国騎士団の経済政策のお陰なのに。

ま、俺と違って帝国騎士団は、日頃の行いがな。

「だから俺達、この景気のビッグウェーブに乗って、新しい風俗店を建てることにします」

「あ、そ…」

何。

その興味の無さそうな顔。

「残念ですけど、ルルシーは来ちゃ駄目ですよ。ほどほどやんわりの店なので。俺という夫のいるルルシーは、立ち入り禁止なんです。済みません」

「別に謝らなくて良いよ。俺はお前と夫婦になったつもりはないし、ついでに元々そういう店には行かないから」

なぁんだ。良かった。

「ですよね!ルルシーは俺一筋ですもんね!相思相愛~!」

「だから、いちいちくっつくな!」

「仲良し夫婦で何よりだ、先輩方」

「何微笑ましげに見てるんだ、お前は!」

まぁまぁ、良いじゃないか。

折角の、景気回復傾向。

このビッグウェーブを逃す手はない。

俺の見立てが正しければ。

恐らくは後一押しで、事態は大きく変わるはずなのだ。

この度の、ルリシヤとの共同風俗店出店は、その前祝いのようなもの。

きっと成功するだろう。
< 197 / 627 >

この作品をシェア

pagetop