The previous night of the world revolution5~R.D.~
その夜、俺はいつも通り帰宅し、いつも通りふんふん匂いを嗅がれ、いつも通りぽふっと抱きつかれて、いつも通り一緒に夕食を摂った。

こんな何気ない日常が、堪らなく幸せだと感じる今日この頃。

数年前まで、自分がこんな生活をしてるなんて、思ってもみなかったなぁ。

人を好きになるということは、なんと素晴らしいのだろう…。

ほっこりしながらソファに座り、新聞を広げてくつろいでいた。

そのとき。

「…ルヴィアさん」

「うん?どうした、フューニャ?」

「大事なお話があります」

その瞬間、俺のまったりモードが吹き飛んだ。

新聞を蹴っ飛ばし、ソファから飛び降りて、床に正座した。

フューニャの真剣そのものの眼差し。そしてこの冷たい声音。

ただ事ではない。

ま、まさか俺はフューニャを怒らせてしまったのか?

また無意識に何かやってしまったのか?

咄嗟に、己のここ数日の行動を思い出す。

何も引っ掛かる点はない。ましてや、他の女の影などこれっぽっちもない。

大体フューニャが俺に他の女の影を見つけたら、帰宅時にバレるはずだ。

フューニャの嗅覚は、警察犬をも凌駕する。

それなら、別の話だ。

俺は一つの可能性を思い付いて、ハッとした。

ま、まさか。

華弦(かげん)と…お義姉さんと同居するので、あなたとは別居します宣言か…!?

そんなことをされたら、俺は生きていけない。

またしても首輪を身に付けて、ドッグフードを食べなければならない。

それでもフューニャと一緒にいられるなら、俺は…!

「ふ、フューニャ。俺…!」

「今日からクランチェスカ家は、質素倹約令を発令します」

「…へ?」

…フューニャさん…今、何て?
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