The previous night of the world revolution5~R.D.~
生涯で、またこの国に来ることになるとは…。

因果なもんだなぁ。

シェルドニア空港に着くなり、俺はうんざりした気分だった。

見渡す限り、白、白、白。

何もかも真っ白。

それだけでも吐きそうなのに、空港を出た瞬間、まるで俺達を待ち構えていたように、「それ」がそびえ立っていた。

「…久し振りですね、この悪魔め」

悪名高き、シェルドニア名物。

『白亜の塔』である。

空港までお出迎えとは、殊勝な心掛けじゃないか。

この国がどういう国か、改めて思い知らされる。

「…大丈夫か、ルレイア」

ルルシーが、心配そうに声をかけた。

早速トラウマを刺激されたのではないかと、心配してくれたのだろう。

だが。

「平気ですよ」

確かに気分は悪いが、正気を失うほどではない。

それに、国内に雑木林のようにそびえ立っている『白亜の塔』は、遅効性の毒のようなもの。

長期間かけて、少しずつ洗脳する機械だ。

数日、数週間程度では、効力を発揮しない。

アシミムが変な気を起こさない限りは、この国にいることで俺が再び洗脳される事態は避けられるだろう。

心配ない。俺の救世主は、いつだって愛するルルシー一人だけだ。

ちゃんと覚えてる。

魂に刻み込んだからな。

「さて、では早速アシミムのもとに…」

向かおうか、と足を踏み出したそのとき。

「…久しいな」

懐かしい顔が、俺達を待っていた。
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