The previous night of the world revolution5~R.D.~
「私だっていっぱしの主婦なのですから、例え不景気で食費が嵩んでも、そこを創意工夫で補うのが、主婦の役目というもの」

…そうなの?

俺は別に、甘えても良いと思うけどな。

生活に困ってる訳じゃないんだから。

でも、フューニャはそうではないらしく。

「私にも主婦としての意地があります。家庭の食卓を守る義務があります。従って、ここは質素倹約令を発令することで、私は食卓を守ります」

「…そんな無理をしなくても、食費を増やすことで解決すれば…」

「それだと、私が無能みたいじゃないですか。嫌です」

怒られた。

「限られた予算の中で、いかにしてルヴィアさんの胃袋を満足させるか…。あぁ、腕が鳴ります。私の腕の見せ所ですね」

なんか…フューニャ。

ちょっと…楽しそう?

「食費はこのままで結構です。その代わり、節約したお金で、また二人でデートにでも行きましょう」

「…!フューニャ…」

質素倹約令の本当の意味は…それだったのか。

すると、フューニャは墓穴を掘ったことに気づいたらしく。

ハッとして、それからふいっ、とそっぽを向いた。

「…別に私は、あなたとデートに行きたい訳じゃありません」

「…」

「行きたい訳じゃありませんからね」

ちらっ、ちらっ、とこちらを見るフューニャ。

「ふっ…フューニャぁぁ…!」

あまりに可愛くて、俺は可愛い妻を両腕の中に抱き締めたのだった。
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