The previous night of the world revolution5~R.D.~
この際、オルタンスはまぁ良い。

こいつのルレイア信奉は、いつものことだからだ。

だが仮面の幹部。お前は何だ。

「お前、『青薔薇連合会』の幹部だろ」

「いかにもそうだが」

確か名前、ルリシヤとか言ったよな。

ルレイア並みに強いとか賢いとか噂の。

「何で俺達についてくる?」

『青薔薇連合会』は『厭世の孤塔』討伐の為、地下に行ったはずだろ。

道でも間違えたか?

「この先に、良からぬものがある気配がするものでな」

「…良からぬもの…?何だそれは」

「さぁ」

さぁって。

「何を根拠にそんなことを」

「俺の仮面だ」

は?

「俺の仮面の勘がそう言ってる。この先に何かあると」

…仮面越しだが、その表情は真顔。

そうか。

お前、確かに『青薔薇連合会』の幹部だな。

あのルレイアと渡り合える訳だよ。

変態しかいないのだろうか。あの組織は。

もう何も言うまい。

すると。

「…むっ」

ルリシヤとかいう仮面幹部が、足を止めた。

「何だ?」

「この部屋だ…。この部屋に何かある」

お前はエスパーか何かなのか?

「鍵開いてるのか?」

試しにドアノブをガチャガチャ引っ張るが、案の定、鍵がかかっている。

見たところ頑丈な鍵ではないし、無理矢理叩き壊しても良いが…。

力ずくで開けるか、と思ったら。

仮面幹部はスッ、と懐から針金を取り出し、鍵穴に突っ込んだ。

2秒とかからず、カチャッと音がした。

「大丈夫だ。鍵は開いてる」

「開いてるんじゃねぇ。お前が今開けたんだろ」

ピッキングの事実を、なかったことにするな。

俺も一応ピッキングの技術はあるが、ここまで早くは出来ないぞ。

こいつはマフィアをやめて、盗賊をやるべきだ。

「で、何がある?」

これで何もなかったら、笑い話では済まないのだが?

「…」

一見、何の変哲もない小会議室のようだ。

部屋の中央に大きなテーブル、周りに数脚のパイプ椅子。

奥の方に、ホワイトボードと、黒と赤のペンが二本ずつ。

部屋の隅に、空っぽのゴミ箱。

それだけだ。

それ以外は、特に目立つものは何もない。

「…本当に何かあるのか?」

「…ふむ」

お前のその、仮面の勘とやら。

信用出来るのか?

天気予報みたいに、ごめんやっぱり外れました、ってことがあるのでは?

笑えない。

すると。

仮面幹部はポケットから、何かを取り出した。

何だと思ったら、ツールナイフ。

「それは…?」

「これか?これは『ルリシヤ特製★これであなたもアクション映画のスター!爆弾解除キット』だ」

やっぱりお前、マフィアやめろよ。

もっと良い職があるぞ。

…何?爆弾解除だと?

「お前今…爆弾と言ったな?」

「あぁ」

さらりと頷くと、仮面幹部は一番奥にあるパイプ椅子の下に、腹這いになった。

よく見たら、そのパイプ椅子の下から、赤いコードが伝っていた。

まさか…。

「…帝国騎士団の爆弾解除班を呼ぶ。お前は地下に行け」

「何で?」

何でじゃねぇ。

有能な『青薔薇連合会』の幹部だろうが、ここは譲ることは出来ない。
< 263 / 627 >

この作品をシェア

pagetop