The previous night of the world revolution5~R.D.~
ルリシヤが合流し、俺達は陣形を立て直した。

剣の切れ味も、さすが帝国騎士からパクっ…借りてきただけあって、なかなかのもの。

良いねぇ。調子良いよ、俺。

フェロモン出そう。

「ルリシヤ!そっちはだいじょ…、」

一人で中衛を守るルリシヤに、ルルシーは気遣いの言葉をかけた。

が、

「うぎゃぁぁぁっ!」

「ふっふっふ…。どうだ?俺の特製、『ブートジョロキア・カラーボール』の味は…」

魔性の笑み、ルリシヤ。

「…大丈夫そうだな」

スッ、と目を逸らすルルシー。

うん、大丈夫だと思うよ。

あと、気のせいかな?酸素がなんか辛い。

ジョロキアパワー恐るべし…と、思っていたら。

「…!ルルシー!あれ!」

劣勢を悟ったのか、何人かの敵兵が、後退する振りをして、地下室の奥に姿を消していくのが見えた。

もしかして、あれが地下脱出口?

「不味いな…!ここを逃したら、また…」

「…!」

『厭世の孤塔』の残党の残党の残党の…もう何回目か分からん。

ここで掃討するつもりが、また取り逃してしまったら。

いずれ再び、俺達に復讐の刃を向けようとするだろう。

その為にわざわざ突っ込んできたってのに…!

「ちっ…。アイズ、突貫します。奴らを脱出させる訳にはいかない」

俺は、インカムでアイズにそう伝えた。

すかさず。

「ルレイアが行くなら、俺も行くぞ」

さすがルルシー。勇ましい。

しかし、作戦指揮官であるアイズの返事は。

『…いや、追撃はやめておこう』

「…!」

『君達が突貫したら、中衛のルリシヤに負担がかかり過ぎる。今目の前にいる敵だけに集中して。逃げる者は追わなくて良い』

「…」

アイズも、相当の覚悟を持って指示しているのだろう。

ここで奴らを逃せば、いずれまた『厭世の孤塔』の残党が、いつか俺達に牙を剥くことになる。

分かっているが、今は追わない。

万が一中衛のルリシヤが突破されることがあれば、後衛にいる手負いのシュノさんと、接近戦にめっぽう弱いアリューシャが狙われる。

それだけは、避けなければならないと判断したのだろう。

作戦指揮官がそう判断するのなら、俺達は異論を唱える訳にはいかない。

「…分かりました。ここにいる敵だけを掃討しましょう」

「五分くらいなら、俺一人でも持ちこたえられるが?」

ルリシヤは、代案を持ちかけたが。

『いいや、『厭世の孤塔』は手練れだ。油断は出来ない。追撃はしない』

アイズはきっぱりと、その提案を退けた。

「…了解した」

ルリシヤも、それ以上は言わなかった。

アイズの判断を尊重したのだ。

ここで、無理に突っ張るべきではない。

残念だが、仕方ない。

まぁ、逃げたと言ってもほんの数人だ。

大半はここで潰せる。

当面の安全を確保出来るだけでも、上々だろう。








…しかし。


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