The previous night of the world revolution5~R.D.~
「大丈夫だよ、ルヴィア…。きっと許してもらえるよ」

俺は、ルヴィアの背中をさすりながら慰めた。

そりゃ…確かに怒らせたかもしれないけど。

それでも、二人の絆は、そう簡単に千切れるものではなかろう。

「でも…。俺には、どうやったら嫁に許してもらえるか分からないんです…」

半泣きで呟くルヴィア。

どうやったら、か…。

「そうだな…。ケーキ買って帰るとか…」

「それはもうやりました…」

あ、そうなんだ…。

すると。

「ふっふっふ。二人共お困りのようですね」

余計なことしか言わないから黙ってろ、と言ったのに。

ここぞとばかりに、ルレイアがしゃしゃり出てきた。

「お前、ルレイア。少し静かにしてろって」

「何を言いますルルシー。男女関係のことなら、俺に聞かずに誰に聞くんですか?」

そういえば、そうだった。

この男、恐らくルティス帝国の男性の中で一番、男女関係については詳しい。

俺なんかより、余程的確なアドバイスが出来るはずだ。

「仕方ない…。じゃあ、ルレイア。ちょっとルヴィアにアドバイスしてやってくれ」

「お任せください!恋愛に困ったら、いつでもルレイア恋愛相談所にどうぞ」

何だろう。

こいつが言うと、物凄く卑猥に聞こえるのは、俺だけだろうか。

「まずは、機嫌を損ねる嫁を、強引にベッドに押し倒します」

はい、アウト。

「そして、普段以上に激しい××をすることで、あまりの快楽に怒りを忘れるように…」

「余計怒らせるに決まってるだろ!馬鹿!」

ルレイアの頭を、ベシッとひっぱたく。

やっぱり、こいつに喋らせるんじゃなかった。

そんな方法で仲直りするのは、お前だけだ。

俺、絶対ルレイアと喧嘩するのはやめよう。

何をされるか分かったものじゃない。

「い、良いかルヴィア。ルレイアの言うことなんて本気にするなよ。誠心誠意謝るんだ。それが一番だよ。な?」

「誠心誠意…」

「そうだ。それでももし駄目だったら、俺も間に入るから…」

『厭世の孤塔』と戦うよう指示したのは、俺だ。

他でもない、ルヴィアの直属の上司である俺に、責任がある。

もしルヴィアが誠心誠意謝っても、許してもらえないようなら。

ルヴィアと一緒に、俺も頭を下げる所存である。

ルヴィア嫁には、シェルドニアの一件のとき、占いやら何やら、間接的に色々世話になったらしいし…。

何より、ルヴィアは俺にとって、大変有能な部下。

クランチェスカ夫妻の夫婦仲が悪くなったら、ルヴィアは歩く人体模型も同然。

何としても、仲直りしてもらわないと。

「ルルシーさん…。済みません…」

「大丈夫だ、心配するなルヴィア。きっと仲直り出来るよ」

「え~?そんなのベッドに押し倒して…」

「ルレイアは黙ってような…!」

良いか、全国の良い子の皆。

ルレイアの言うことなんて、本気にするなよ。

そんな方法で仲直りするのは、ルレイアだけだ。

怒らせたら、まず謝罪。

月並みなことしか言えなくて申し訳ないが、やはりこれに勝る仲直りの方法などありはしない。
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