The previous night of the world revolution5~R.D.~
休憩の為に入ったカフェで。

私は、お姉ちゃんに愚痴らずにはいられなかった。

「聞いてください。ルヴィアさんったら、私に嘘をついたんですよ」

「…何ですって?」

お姉ちゃんの目が、きらりと光った。

「先日、『厭世の孤塔』とかいう、危険なマフィアと抗争があったんでしょう?」

「えぇ、ありましたね」

「それなのにルヴィアさんたら、『アシスファルト帝国に出張に行く』って嘘をついて行ったんです」

思い返すだけで、むかむかする。

そうと知っていれば、また「お守り」を持たせたのに…。

今回は、何もなかったから良かったようなものの。

そんな危ない相手と戦って、怪我でもしたらどうするつもりだったのか。

こんな大事なことを、妻である私に黙って行くなんて、言語道断だ。

私だけ蚊帳の外にして。

無事なんだから良かったじゃないかとか、そういう問題ではないのだ。

「まぁ…。私の妹に嘘をつくなんて、酷い男です。じゃあ、私がフューニャに伝えなかったら、あなたは騙されたままだったんですね?」

「そうです」

お姉ちゃんが教えてくれなかったら、私は今頃もまだ、単なるアシスファルト出張だと思っていただろう。

余計に腹が立つ。

「それで今、喧嘩中なんです」

今日は、もうお土産も買って帰ってあげない。

一週間は口も利かない所存である。

私は、それくらい怒っているのだ。

私に黙って、生きるか死ぬかの死線に飛び込むなんて。

それが仕事なのは分かっているが、せめて妻である私には、事前に伝えてくれても良いじゃないか。

それとも、私は信用出来ないとでも?

あぁ、やっぱりむかむかする。
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