The previous night of the world revolution5~R.D.~
…私はその日、早めにお姉ちゃんと別れ、帰宅した。

もしかしたら、ルヴィアさんは出掛けているかもしれない…と思ったが。

「…」

何故か、ルヴィアさんは玄関先で、正座をして待っていた。

「…ずっとそうしてたんですか?」

「…うん…」

「いつから?」

「昼過ぎ…。帰ってきてからずっと…」

…全く。

あなたという人は…。

「ふっ…フューニャに…見捨てられるかと思って…」

「…」

「帰ってくるまで…ずっと、待ってた」

「…」

もし万が一、私が帰ってこなかったら。

この人は、飢えて死ぬまで、ここで正座して私を待っていたかもしれない。

「あの…。フューニャ。本当に…ごめん」

「…」

「騙すつもりはなくて…。ただ、心配かけたくなかったから…。ぐずっ…」

…良い歳した大の男が。

涙を溜めて、鼻水垂らして、なんともみっともない。

しかし。

私に許してもらいたくて、その為に必死に、誠心誠意謝ろうとしてくれているのは、痛いほどに伝わってくる。

「本当に…あの、ごめんなさい…」

「…」

「…」

…そんな顔して、謝られたら。

いいえ許しません、なんて言える訳がないじゃないか。

「…顔を上げてください、ルヴィアさん」

「…」

「もう怒ってませんよ」

そう言うと、ルヴィアさんは、ハッとして顔を上げた。

「私の方こそ、あなたの気持ちも考えず、無神経なことを言ってしまいましたね。ごめんなさい」

「そんな…!フューニャは悪くない。俺が…」

「いいえ、私も、あなたの気持ちを汲むべきでした」

私は、自分の気持ちしか考えてなかった。

ルヴィアさんの気持ちも、考えるべきだった。

「でも、嘘をついてまで、私に黙って危険に飛び込むのはやめてくださいよ。私だって、マフィアの妻です。覚悟は出来てます。危険な仕事のときは、ちゃんとそう言ってください」

何も言われずにもしものことがあって、後で知ったら、どんなに後悔するか。

想像しただけで、気が狂いそうになる。

何の覚悟もなく、マフィアの妻をやってる訳じゃない。

「うん…。ごめん…」

「…心配かけたくないのは、あなただけじゃないんですよ」

「…うん」

それは、お互い様というものだ。

自分だけ心配をかけまいなんて、そうは行かない。

「それを分かってくれたなら、良いです。今回は仲直りしましょう」

「…仲直り…してくれるのか?」

情けない顔をするルヴィアさん。

「するに決まってるでしょう」

「…!離婚…じゃないのか?もしくは別居…」

「はぁ…?」

この人、一体何を言ってるんだろう。
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