The previous night of the world revolution5~R.D.~
…あのさ。

「ルルシーさん、おはようございます」なら良いんだよ。

この部屋の主は俺なんだから、俺がいるのは当然だ。

なのに、何で「ルルシーさん、ルレイアさんおはようございます」なの?

俺の部屋にルレイアがいるのは当たり前、ってか?

勝手に当たり前にしないでくれよ。

本当はいないのが当たり前だから。

それより。

「ルヴィア…お前…」

「ルレイアさん、今日のマニキュア、それ、良い色ですね」

「でしょ~?『frontier』コラボの第二段なんですよ」

「へぇー…。それは、ルクシーカラーですか?」

「いえ、ルトリアカラーです。ルクシーカラーも良いですけどね~」

おい。お前ら、何にこやかに話してる。

お前はどうせ全種コンプしてるんだろ。

「お、おい。ルヴィア…」

「あ、ルルシーさん。これ、今日中にお願いしますね!」

「え?あ、うん…」

ドサッ、の書類の束を俺のデスクに置くルヴィア。

今日も多いな。相変わらず。

いや、そんなことより。

「ルヴィア…。お前、元気なのか?」

「はい。すこぶる元気ですよ?」

…。

「嫁と…仲直りしたのか?」

迂闊に、「嫁」という単語を口にした俺が馬鹿だった。

ルヴィアは、途端にキランッと目を輝かせた。

しまった、と思ったときにはもう遅い。

「はい!!ちゃん…っと仲直りしました!」

鼓膜破れるかという勢いで、ルヴィアが迫ってきた。

あぁ…やってしまった。

「あの後家帰って、正座して待ってたら嫁が帰ってきてくれてですね、ごめんなさいして仲直りして、そして一昨日俺がお土産に買ってきたケーキを、一緒に食べたんです!嫁がラズベリータルトを気に入って、二人で食べさせっこして!今度また買って帰るって約束したんです!それからそれから!昨日出来なかったカラオケデートも、今度の休みに一緒に行ってくれるって!秘境の里に伝わる呪いの歌を、今から練習してるんですよ!それがまた凄く可愛くて、もうめちゃくちゃ可愛くて俺は」

あぁ…駄目だ始まってしまった。

ルヴィアに「嫁」なんて言うから…。

ってか呪いの歌って何?それカラオケ配信されてんの?

それを可愛いと断言するお前は、一体何なの?

「…俺、悪くないですからね?ルルシー」

「あぁ…。責任持って俺が聞くよ…」

ルレイアが、横でペタペタとマニキュアを塗る傍ら。

俺はそれから、ルヴィアの気が済むまで、散々惚気話を聞かされたのだった。

お前の身を真剣に案じた、俺の心配を返せ。

なんか裏切られた気分だが、でもルヴィアが元気になって良かった。





第一部END




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