The previous night of the world revolution5~R.D.~
「…?ルレイアは?」

シュノは、そんなことよりと言わんばかりに、きょろきょろと部屋の中を見渡した。

ルリシヤとアリューシャは、完全に遊びに来てるが。

シュノは遊びに来てると言うより、ルレイアに会いに来てるからな。

じゃあ、アイズは何をしに来てるかって?

決まってるだろ。アリューシャのお守りだ。

「あ、本当だ!ルレ公いねぇ!何処行ったんだ?」

「今日は仕事なんだと」

さっき、わざわざ言いに来たよ。

「うちの大口取引先のマダムと、日帰りプチ旅行だってさ」

「マジ!?絶対エロいことすんだろうな~!」

だろうな。

むしろ、他に何すんの?ってくらい。

「熟女は好きじゃないんですけどね~。まぁ、お仕事だから仕方ないですよね」とか言いながら行ったよ。

何でわざわざ俺に宣言していくんだ?

「なぁんだ…。ルレイアいないんだ…」

あからさまに落胆するシュノ。

気の毒な。

「マジかよ~。つまんね。昼寝のし甲斐がないってもんよ!」

ルレイアがいないことと、お前の昼寝に、何の関係が?

いようといまいと、遠慮なく寝てるじゃねぇかよ、お前は。

人の部屋でさ。

すると、ルリシヤが。

「元気を出してくれ、先輩方。ここで俺が、先日会得したばかりのマジックを披露しよう」

「え、マジ!?」

食いつくお子様、アリューシャ。

マジックだと?

今更披露しなくても、ほぼ毎晩人の家に侵入してる時点で、お前の存在そのものがマジックみたいなもんだろ。

「ほら、アリューシャ先輩。この中から、好きなカードを選んでくれ」

ルリシヤは、一組のトランプを裏返しにして、アリューシャに一枚取らせた。

「よし、これだ!これに決めた!」

「分かった。皆で確認してくれ。俺は後ろを向いてるから」

「ほーい」

アリューシャが引いたのは、ハートのエース。

ルレイアが好きそうなカードだ。

「確認したか?」

「うん!」

「じゃあこっちに戻してくれ。これをこうして、シャッフルして…そして、ルリシヤマジックをかける」

「おぉ!」

何だ、ルリシヤマジックって。

俺には、普通にシャッフルしてるようにしか見えない。

充分にシャッフルしてから。

ルリシヤは、デックの一番上のカードを取って、捲った。

「アリューシャ先輩が引いたのは、これだな?」

裏返したカードは、なんとハートのエース。

凄い。当たった。

「すげぇぇぇ!マジか!ルリ公マジックすげぇ!」

アリューシャ大興奮。

まぁ、閉じ込められたと思ったら数分で脱獄したり、爆弾つきの手錠をあっさりと解錠したりするような奴だからな。

今更、マジックの一つや二つで驚いたりはしない。
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