The previous night of the world revolution5~R.D.~
いつもだったら。

普通にお帰りとか、そもそも『事後』に出歩くなとか、色々言うのだろうけど。

今だけは、何と言って良いのか分からなかった。

「お帰り。雨、降らなくて良かったね」

アイズは、極めて自然な風を装おって言った。

自信がないと言っていた割には、上手いじゃないか。

「そうなんですよ~。パラつくかと思ったんですけど。と言っても、『本番』はホテルの中だから、天候は関係ないですね」

…そうだったな。

「どうだった?熟女の味は」

ルリシヤ、良い質問だ。

いつもならゲスな質問だが、今回ばかりは良い質問だ。

「うーん…。まぁそこそこってところですかね。俺、熟女好みじゃないんで」

「分かる。俺だって、やるなら若くてピチピチの、おっぱい大きい女の方が良いからな」

ルリシヤ、ナイスな演技なのだが。

こんなに低俗な会話があるか?

今のところは勘づかれてない…か?

「お、お帰りルレイアっ…。観光、楽しかった?」

シュノ、頑張ってる。

ちょっと顔がひきつってる気がしなくもないが。

「えぇ、楽しかったですよ。お土産買ってきたので、後で皆で食べましょう」

笑顔で答えるルレイア。

まだバレてない。きっとまだバレてない。

しかし。

「え、えっと。えっと。こっちはその…何事もなかったぜ!超平和だった!何の心配も要らないぜ!」

この、馬鹿アリューシャ。

演技下手くそなのは分かってるが、そんなこと言ったら、「何かありました」と言ってるようなもんだ。

いっそ黙っていてくれた方が、と思ったが。

普段騒がしいアリューシャが、不気味なほど静かだったら、それはそれで違和感があるか。

「そうですか。それは良かったです…で、ルルシー」

「…」

「何があったんですか?」

「…」

…ですよね。

一瞬でも、ルレイアを騙せるかと思った、俺が馬鹿だった。
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