The previous night of the world revolution5~R.D.~
…そりゃバレるよな。

ルレイア相手に、隠し事が出来た試しがない。

「…あのな、ルレイア」

「はい」

「一応言っておくが、俺は、お前を傷つけない為に…」

「そうですね。いつもありがとうございます。で、何があったんですか?」

…やっぱり駄目か。

「な、な、何もねぇよ!なーんにも!皆で昼寝して過ごしたもん!」

アリューシャ。さすがにもう苦しいぞ。

お前はともかく、俺達昼寝しねぇし。

「おっと、嘘つきはいけませんねぇ。良いですよ、俺は人を『素直に』させるのは得意ですから。早速アリューシャを連れてベッドに…」

「嫌ぁぁぁぁ!アイ公お助けぇぇぇぇ!」

「分かった、話す。話すから。フェロモン攻撃はやめてやれ」

危うく、アリューシャが「素直に」されかねん。

「最初から素直に話してくださいよ。何で俺に隠し事が出来ると思うんですか。本部に入ったときから気づいてましたよ。物凄く殺伐としてるんですから」

怒ったように言うルレイア。

そうか…。その時点で既に気づいていたか。

俺が甘かった。

「…俺達は席を外した方が良いか?」

と、ルリシヤ。

もしあの男が、ルレイアの過去の傷を思い出させる人物だとしたら。

俺とルレイア、二人きりになった方が良い。

そう判断したのだろう。

「…ふむ。そんなに厄介なことが?」

「…厄介かどうかは分からない。でも…」

「良いですよ、いてくれても。その様子だと、皆さんも何かしら関わったんですね?」

「…あぁ」

「それに、ルリシヤ…。あなた、怪我してません?」

…お前。

「よく気づいたな。痛がってるように見えたか?」

「いや、何となくですけど…。消毒液の匂いがしたもので」

「当たりだ。でも、大した傷じゃないから心配要らない」

「…」

ルレイアは少し黙って、何かを考えた。

心配要らない、はずがない。

ルリシヤを傷つけられるほどの人間が、この国にどれほどいることか。

分からないルレイアではないからだ。

「誰が来たんです?」

「分からない。名乗らなかったし、顔も見えなかった。狐の面をつけてたから」

「ふぅん…。知り合いに狐のお面をつけてる人は、思い当たりませんね」

…それは何より。

「で、その人がルリシヤを?」

「あぁ。最初は、お前を訪ねてきた。『ルレイア・ティシェリーを出せ』と」

「俺をご指名とは…。それは光栄ですね」

何が光栄なもんか。

あんな物騒な知り合い、いない方が良い。

「今はいないと言ったら、ルリシヤが相手になった」

「それで、ルリシヤが怪我をしたんですね。銃創ですか」

「いや、刃物傷だ。両剣使いだった。覚えはあるか?」

「…両剣…」

ルレイアが何かを思い出すのではないかと、俺は気が気ではなかった。

覚えがないと言ってくれ。頼むから。
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