The previous night of the world revolution5~R.D.~
「ルリシヤを傷つけられるほどの実力者ですか…。それは怖いですね」

「そいつ、アリューシャの狙撃も弾いたんだぜ!バチンって!でっけぇ剣で!」

ほう。それはそれは。

狙撃手の存在と、その位置を知ってたんだろうね。

でなきゃそんな芸当、出来るはずがない。

「おまけに厄介なことに、その人、ルリシヤが元『セント・ニュクス』の頭領だってことも知ってた」

アイズが、難しい顔で言った。

…何だと?

ルリシヤの過去を知ってる…?

「それは…本当に厄介な相手ですね」

「あぁ」

『青薔薇連合会』幹部としてのルリシヤは知っていても。

『セント・ニュクス』の首領だったルリシヤを知る者は、ほんの一握りしかいない。

つまり、それだけの情報を得ることが出来る立場にいるのだ。

そんな人物が、このルティス帝国にどれだけいることか。

しかもそいつは、わざわざ名前と顔を隠して、俺を指名してきた。

…もしかしたら、俺の生い立ちも知られているのかもしれないな。

知った上で、俺を訪ねてきたのかも。

もし、そうだとしたら…。

…本当に、帝国騎士時代の知り合いかもしれない。

「…」

「…ルレイア、大丈夫か?」

ルルシーが、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

大丈夫じゃないと言えば、すぐさま俺を担いでベッドに寝かせ、その狐面の男とやらを探しに行きそうな勢いだ。

でも。

「大丈夫です。ルルシーが…皆さんがついててくれますからね」

「当たり前だ」

こんなに心強い仲間はいない。

「その人、また訪ねてくるって言ってた。今度こそ、ルレイアに会いに…」

「…そうですか」

なら、そのときに明らかにしてもらおうかな。

狐面の下の、その素顔を。
< 330 / 627 >

この作品をシェア

pagetop