The previous night of the world revolution5~R.D.~
しかし。

「…俺はあいつを信用出来ない。全く」

「王族の全てが、ローゼリアやゼフィランシアみたいな奴ばかりじゃないと思いますけど」

「…やけに庇うじゃないか。ルーチェスのことを」

うーん。

何でだろうね?

「…格好良いって言われたからかなー」

「…お前…!」

あぁ、また怒りの火に油が。

このままじゃ、ルルシーの血管が切れちゃうよ。

「とにかく、とにかくですよ。ルルシー、彼は敵じゃありません」

「何でそう断言出来るんだ。王族だろう?一度裏切られた相手に、何でまた…。…っ」

「…」

失言に気づいたのか、ルルシーはバツの悪そうな顔をした。

「…ごめん」

「…良いですよ」

別に、ルーチェスに裏切られた訳じゃない。

俺が憎いのは、あくまでローゼリアとオルタンスだ。

「…とにかく、俺は反対だ。大反対だ」

ルリシヤのときも、そんなこと言ってたよなぁ。

ルルシーったら、本当に心配性なんだから。

「まぁ、少し様子を見てみれば良いじゃないですか。もし怪しそうだったら、いつでも破門に…」

「既に怪しいだろ」

「ルルシーったら、疑り深いんですから…」

「お前が気を許し過ぎなんだ。王族なんて…」

完全に、目の敵にしちゃってる。

坊主憎けりゃ袈裟まで、ってことか?

ローゼリア憎けりゃ王族まで。

「分かりました。分かりましたよ。しばらくは試用期間ってことにして、本当にルルシーが言うように信用出来ないなら、破門にしますよ」

「…でも…」

「…それにね、ルルシー」

俺は、少し声を潜めた。

「あのルリシヤと、真っ当に渡り合える相手ですよ?敵に回すより、味方につけておいた方が良い」

「…それは」

「おまけに、彼は王族です。権力があるんです。その気になれば、権力に物を言わせて『青薔薇連合会』と真っ向勝負ってことも有り得る」

「…」

だからお坊っちゃまの言うことを、素直に聞いてやれ…とまでは言わないが。

機嫌を損ねない方が良いのは、確かだ。

「何を考えてるか分からないからこそ、いざというときの為に、近くに置いておく…。それも手だと思いますけどね、俺は」

「…」

「…ルルシー?」

「…なんか、またお前に良いように言いくるめられてる気がする」

酷い。

まるで俺を詐欺師みたいに。

「…言っとくが、お前が気を許しても、俺は許さないからな。あいつが何か企んでいると分かったら、すぐに俺が殺す。刺し違えてでも」

「…分かりました。それで良いですよ」

ルルシーのお怒りは、依然収まったようには見えないが。

とりあえずの了解を得たということで、良しとしよう。
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