The previous night of the world revolution5~R.D.~
多少、心を許したとはいえ。

勿論、ルレイアとルーチェスを二人きりにする訳にはいかないので、ついてきてみたが。

…何これ?

「…ルレイア」

「はい。何ですか?」

「…何?ここ」

「俺達が先日来た、『やんわりえっち』のお店、その名も『Fraulein』です」

そんな店名だったんだ。

「ちなみに乙女、って意味ですよ。やんわりえっちなので!」

やんわりえっちの何処が乙女なんだ?

お前の乙女の基準は、何処にあるんだ。

いや、そんなことはどうでも良い。

「何でまた来たんだ。大体今、昼間だぞ」

まだ営業時間外だろうが。

昼見世でもやってんのか。

「えぇ。でも俺、オーナーなんで」

「…」

「折角弟子が出来たんで、俺の普段のお仕事を伝授しようと思うんです」

…お前の…普段の仕事?

それって…もしかして…。

「さぁ、入ってくださいルーチェスさん」

「僕、何すれば良いんですか?」

「今日、新しい嬢候補が『採用試験』に来てるんですよ。あなたには、その子の『試験監督』になってもらいます」

…まさか。

「採用試験ですか…。具体的には、何を?」

「その子とベッドを共にして、その子が使い物になるかどうか見極めてください」

「ちょっと待てコラ」

これには、思わず割って入らずにはいられなかった。

お前は、自分の弟子に何をさせようとしてるんだ。

「何ですかルルシー」

「何ですかじゃねぇ、お前自分の弟子に、何をさせようとしてるんだ!」

「俺の弟子だからですよ。俺の普段のお仕事を代理でやってもらうんです」

お前の普段の仕事、分かっちゃいたが、なんて不健全なんだ。

「分かってるのか?ルーチェスは、仮にも王族だぞ?」

お前の性生活が、乱れに乱れてることは知ってる。

もうそれが仕事なんだから、いくらでも乱れれば良いよ。

だが、ルーチェスは違う。

「うっかり妊娠でもさせたらどうするんだよ。私生児になるんだぞ!」

「そこはちゃんと避妊してもらいますよ」

「避妊すれば良いって問題じゃないだろ!」

「相手の嬢には、ルーチェスが皇太子だなんて伝えませんし」

後になって、「私は皇太子と寝たんだから!私が皇妃になるんです!」とか言い出されたら、困るどころじゃないもんな。

でも待て。そうじゃない。

「あのな、ルレイア。そういうことはな、仕事とか義務とかじゃなくて、ちゃんと結婚を約束して、愛し合った男女が…」

「…?」

きょとん、と首を傾げるルレイア。

こいつはもう駄目だ。貞操観念が崩壊しきっている。

今更、ルレイアの歪みきった貞操観念を正すのは無理だ。

ならせめて、ルーチェスだけでも救、

「分かりました。ではこのルーチェス・ジュリアナ・ベルガモット、晴れて脱童貞してきます」

「行ってらっしゃ~い!ごゆっくり!」

「ルーチェス早まるなぁぁぁ!」

俺の制止も聞かず。

ルーチェスは、何故かちょっとウキウキしながら、個室に消えていった。

…良いか。

俺は、止めたからな。
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