The previous night of the world revolution5~R.D.~
…結果。

エロ本とかアダルトビデオに比べると。

現実は、もっと生々しいんだと分かった。

おまけに。

「…初めてなの、僕だけじゃなかったんですね」

「うん…。そうだよ」

シーツについた、赤いシミ。

それが何を意味するか、知らない僕ではない。

だったら、そう言ってくれれば良かったのに。

「済みません。処女の扱いどころか、僕自身が処女みたいなもんだったんで、よく分からず…」

「良いんだよ。上手だったよ、君」

いやぁ初めての人にそう言われても。

何処まで信用して良いものか。

「…セカイさん」

「何?」

「あなたは、何でここに?」

「…聞く?そんなこと」

「採用試験なんで…」

「あぁ…。そうか、そうだったね」

まぁ、採用試験とか関係なく、僕の興味本意なんだけど。

処女で、僕と一つしか変わらないくらい若いのに。

何でまた、こんな店に働きに。

「…一言で言えば、お金の為、かな」

「…お金…」

非常に…面白味がないと言うか…普通の理由だ。

生まれてこの方、お金に困ったことがないが故の感想かもしれないが。

「私ね、孤児なの。親がいないんだよ」

「…」

「父親は誰なのか知らない。私のお母さんも娼婦やってたから。で、私がちっちゃい頃、お母さんがお客さんに騙されて、馬鹿みたいに貢いで、借金で首が回らなくなって…。そしたらあっさりお客さんに捨てられたの。使い終わったちり紙みたいに。ポイッと」

…ポイッと。

「そしたらお母さん、自殺しちゃった。私を残して」

「…」

「父親が誰か分からないから、引き取ってくれる人もいないよね。晴れて天涯孤独の身だよ」

「…母親の親戚は?」

父方の血筋が分からなくても、母方ならはっきりしてるんじゃないか?

しかし。

「いたよ。でも、うちのお母さん、あんな馬鹿だから、親戚中からそっぽ向かれてたの。当然その娘も、引き取る訳ないよね」

「…」

「それでも最所の頃は、親戚の家にいたかな…。色んな親戚の家、たらい回しにされた。でも十歳になる前に、私の面倒を見てくれてた伯母の一家が、事故で死んじゃって…」

「…」

「親戚中に『疫病神』って呼ばれて、結局孤児院に入れられちゃった」

…何て言うか。

何て言ったら良いか。

「壮絶な人生送ってますね」

「あはは。そうかな~?そんなもんじゃない?私の人生、上手く行ったことなんてないもん。そういうもんなんだって、もう割り切ってるよ」

「孤児院を出た後は?」

「キャバクラで働いてた。ここの系列店じゃないけど」

元々水商売の女性だったってことか。

「嫌じゃなかったですか?お母さんと同じような仕事で」

「そりゃあ気は進まなかったよ。でも、孤児院出身で、学もない女なんて、水商売くらいしか働くところないもん」

…そんなもんか。

「しばらくそのキャバクラにいたけど、そこ、若い女の子しか置かない主義でさ。追い出されちゃったから。仕方なく、ここに」

「…へぇ…」

彼女がここに働きに来たのは、そういう経緯があったから、らしい。
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