The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルーチェス

─────…さて、話を戻して。

ピロートークで口説き中の僕は。

「良いんですか?ここ、さっきみたいな本番はないけど、多分キャバクラよりは濃度高いですよ」

と、忠告。

個室だから、余計にな。

やんわりえっちな店だから。

「うん、良いよ。ついさっき、僕ちゃんに処女奪われたばっかりだし」

そういえばそうだった。

僕が奪ったんだっけ。それは申し訳ないことをした。

「あと、僕ちゃんじゃなくて、ルーチェスです」

「ルーチェス君。可愛い名前だね」

それはどうも。

「こんな仕事してたら、元々身体は汚れてるようなもんだよ。今更処女とか処女じゃないとか、どっちでも良い…」

「…」

「それに、小汚ないおっさんが初めての相手になるより、格好良いルーチェス君の童貞を卒業させてあげられた方が、良いと思わない?」

「…確かに」

僕だって、脂肪たぷたぷの肌カサカサのおばさんが初めてより、一つ年上のピチピチのお姉さんの方が良い。

当たり前だ。

「ふふ…。ルーチェス君の初めて、もらっちゃったなぁ」

「僕も、セカイお姉ちゃんの初めて、もらっちゃいましたね」

初めて同士だ。

下手くそだったとしても、お互い様だな。

「知ってる?ルーチェス君」

「何を?」

「女の子の処女を奪ったら、男の子はその責任を取って、結婚しなきゃならないんだよ」

…。

…成程。

「大昔の法律でありましたね、そんなの」

「だからルーチェス君は、私をお嫁にもらわなきゃならないのだ」

セカイさんは、悪戯っぽい笑顔で言った。

…それも良いかもしれない。

「幸せにしてね、ルーチェス君」

「分かりました。じゃあ今度、指輪持ってきますよ」

「私、盛大な結婚式するの夢だったんだ。叶えてくれる?」

「良いですよ。純白のウェディングドレスと、超巨大なウェディングケーキを用意しましょう」

「ルーチェス君は、タキシード着て?」

「そうですね」

「そっかぁ。ふふ…楽しみだな」

セカイさんは、裸体を隠そうともせずにうつ伏せになって、楽しそうに笑っていた。

とても良い景色なのだが。

「…服、着ないんですか?」

「未来の旦那さんだから、見られても良いもん」

「そうですか」

対する僕も半裸みたいなもんなので、見られても構わないのだが。

「それで?採用試験は合格?」

「合格で良いんじゃないですか?」

僕の店じゃないから、僕が判断して良いことなのかどうか。

でも、多分良いのだろう。

「ありがとう。私、ここで待ってるから。ルーチェス君。また会いに来てね」

「分かりました。会いに来ます」

数奇な運命というのは、きっと、こういうことを言うのだろうな、と思った。

これはこれで、悪くない人生だ。
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