The previous night of the world revolution5~R.D.~
「朝食の時間が過ぎたと思ったら、すぐ何処かに消えてしまいなさるのだから…。休日とはいえ、勝手に王宮をうろうろなさるのはおやめください」

「はぁ、はい。済みません」

実は王宮の外に出ていたんだけど…。

王宮内をうろうろしてたってことにしよう。

「…まさか、また勝手に王宮の外に出ていた訳ではありませんな?」

ぎくっ。

「失礼な…。ちゃんと大人しくしてましたよ」

大人しく…大人の行為をしてました。

「それなら宜しいですが…」

疑いの目で、じろじろとこちらを見るレスリー。

怖い怖い。

何とか話を逸らさなくては。

「それより、レスリー。頼みがあるんですが」

「頼み…?何なりと」

「宝石商を呼んでくれませんか」

僕がそう頼むと、レスリーは意外そうな顔をした。

「宝石商…?珍しいですな。殿下が装飾品を欲しがられるとは」

「えぇ、まぁ。ちょっと」

普段、僕は装飾品を買うようなことは、ほとんどない。

あるとしても、今度パーティーがあるからとか、何かしらの式典に参加するからとか、そういう理由があるときだけ。

金遣いの荒かった姉ローゼリアなんかは、毎週のように宝石商を呼びつけては、色々購入していたようだが。

僕個人としては、そんなに宝石に興味はない。

今回だって、自分の為の装飾品ではない。

指輪…今度持っていくって、約束したからな。

「良いことです。王族たる者、高貴なる者の務めとして、相応な装飾品を身につけることも大切ですからな」

満足そうなレスリー。

うん。僕のじゃないんだけどね。

「かしこまりました。明日には王宮に参上するよう、連絡しておきます」

「えぇ、お願いします」

さて、彼女はどんな指輪を欲しがるだろう?

明日までに、考えておかなくては。
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