The previous night of the world revolution5~R.D.~
個室に案内され、しばらく待っていると。

「こんばんは。お待たせしました。今日は私を指名してくださってあり…あれ?」

「こんばんは」

セカイさんが、扉を開けて部屋に入ってきた。

彼女は僕を覚えていたらしく、しばし驚いた顔をして。

「なぁんだ…。今日のお客はルーチェス君だったんだ」

なぁんだって。

「僕じゃない方が良かったですか?」

「ううん。気持ち悪い小デブのおっさんだったら嫌だなー、って思ってたから。ルーチェス君なら大歓迎だよ」

風俗嬢も大変だな。

気持ち悪い小デブのおっさんでも、にこやかにサービスしなきゃならないんだから。

「また来てくれたんだね。ありがとう」

「えぇ。僕、あなたに会いたかったんで」

「え~?本当?嬉しいなぁ」

セカイさんは、ベッドに腰掛けていた僕の隣に座った。

まるで恋人のように、ぴったりと寄り添って。

これはサービスの一環なのか、それとも本心からそうしたくてしているのか。

「ところで、セカイさん」

「セカイお姉ちゃんと呼んでくれて良いんだぞ?」

「セカイお姉ちゃん」

「何かな?」

「プレゼント持ってきたんですけど」

「えぇ?何々?」

僕は、今朝宝石商から届けられたばかりの指輪を取り出した。

「これなんですけど。お気に召しますかね?」

「うわぁ…。きれーい…」

きらきらと光るダイヤモンドを見て、セカイさん、ならぬセカイお姉ちゃんは、目を見張った。

…そんなに感動するようなものだろうか?

うちの本物の姉、ローゼリアだったら。

この程度のダイヤの指輪、女児向けの玩具アクセサリーのようにしか見えないだろうに。

「どうしたの?これ」

「まぁ、エンゲージリングって奴ですね。前、指輪持ってくるって言ってたでしょう?」

「言ってたけど…。本当に買ってきてくれたんだ」

冗談で言ってると思ったのだろうか?

「本当に綺麗…。良いの?こんな高そうなの、もらっちゃって」

「良いですよ。サイズ、合います?」

「うん、良い感じ」

セカイお姉ちゃんは、左手の薬指に指輪を嵌めた。

きらきらと輝くエンゲージリング。

うん。良い。

わざわざ宝石商を呼びつけて買っただけのことはある。
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