The previous night of the world revolution5~R.D.~
「…うーん…」

「…?どったの、アイ公」

アリューシャが、私の顔色が優れないのを見て、てこてこと寄ってきた。

可愛い。

「何だかねー…。きな臭いって言うか…」

「…?きな粉?」

いや、きな粉じゃなくてね。

お餅につけて食べると、美味しいよね。

でもそうじゃなくて。

「なんか怪しい気配を感じるんだよねー…」

「…!?誰だ?誰かがアイ公を狙ってんのか!?任せろ、アリューシャが華麗に撃ち抜いてやるから!誰を撃てば良いんだ!?」

勇ましいアリューシャである。

とても頼り甲斐があって有り難いのだが…。

「それがねぇ、アリューシャが華麗に撃ち抜いて解決する問題じゃないんだ」

今はまだ、ね。

でも、いずれはそうなるかもしれない。

「そうなの…?アリューシャ、役に立たねぇ…?」

「役に立たない訳じゃないよ。そこにいてくれるだけで、私の精神衛生に大変役立ってるからね」

馬鹿にすることなかれ。

アリューシャがいるのといないのとじゃ、大違いだから。

「何が問題なの?」

「うーん…。これ、うちの系列組織から送られてきた報告書なんだけど」

「…?なんかおかしいの?」

「いや、おかしくはない」

「じゃあ、何がいけねぇの?」

「…おかしくないのが、逆に不自然でね」

あまりに…「上手く出来過ぎてる」。

単なる思い過ごしかもしれない。

単なる思い過ごしであって欲しい。

でも、私の長年の勘が…「黒」だと言ってる。

『天の光教』の一件で、裏社会も色々ゴタゴタしてたからな…。

余計に勘繰ってしまうのだろうが…。

「…少し、調べてみようかな」

…何事もなければ良いのだが。
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