The previous night of the world revolution5~R.D.~
そんな訳なので。

王宮に戻ってすぐ、いざ。

まずは、帰りにコンビニに寄って買ってきた、カップ麺から。

実食。

ちなみに、朝ご飯である。

「えーと…。蓋を開けて…かやくを入れる…?」

かやく…火薬?

なんか物騒なもの入れるんだね。

これ、爆発する恐れとかない?

さすがに、カップ麺が爆発して死にました、なんてニュースは聞いたことがないので。

大丈夫だろう。多分。

「えーと、こっちは…。お召し上がり直前に入れてください…か」

じゃ、また後だな。

次は。

「お湯を入れる…と」

どぽぽぽ、とお湯を注ぐ。

それから、蓋を閉めて五分待機。

ちゃんとキッチンタイマーを使う派。

こういうところは、きちんとな。初めてなんだから余計に。

しかし、今レスリーに部屋に突入されたら厄介なことになるな。

まだ入ってこないでくれよ。

待つこと五分。

ぴぴぴぴ、とキッチンタイマーが鳴った。

いざ、蓋をご開帳。

ほかほかと湯気を立てる麺。

物凄く独特な匂いがする。添加物の匂いか?これが。

しかし、あんなにカチカチだった麺が、お湯を入れてたった五分で、こんなに柔らかくほぐれるとは。

考えた人、もしかして天才か?

もしかしなくても、多分天才だ。

で、直前に入れるスープを注いで…と。

ぐるぐるかき混ぜて、いざ口の中へ。

ずぞぞ、と麺を啜るルティス帝国皇太子。

多分、凄く滑稽な絵面になってると思う。

…うん。

「…うっま。何これ…」

考えた人、あなたは間違いなく天才だ。

今までに食べたことのない味。

これがカップ麺という食べ物なのか。

お湯を入れて、たった五分でこの味とクオリティ。

しかもそれが、たった250円程度で味わえるなんて。

この国は一体何なんだ。

それを生まれてこの方、今日に至るまで知らなかった僕は一体何なんだ。

全世界に伝えたい。この美味しさと感動。

箸を動かす手が止まりません。

すると。

「殿下、おはようござい…」

「…」

もちゃもちゃとカップ麺を食べる僕を。

レスリーは、口をぽかんと開けて見つめていた。
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