The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideアイズレンシア

──────…その日、私は午後から仕事の予定が入っていた。

「よし、そろそろ行ってこようか」

私は立ち上がって、そしてそこのソファに寝ているアリューシャに声をかけた。

「アリューシャ。私、ちょっと出掛けてくるね」

「ほぇ?」

寝惚け眼で顔を上げるアリューシャ。

「アイ公、どっか行くの…?」

「うん、お仕事。うちと長く契約してるK企業との契約更新でね、私の判子が必要だから」

新規の契約ではないから、長々と交渉する必要はない。

お互い最低限の確認事項だけ確認して、それじゃいつもの感じで宜しく、と印鑑をついてくればそれで終わり。

時間も大してかからない。

「ふーん…。いつ帰ってくんの?」

「そうだね…。アリューシャのおやつの時間には帰ってくるよ」

契約内容は事前に送られてきた書類で、既に目を通してあるし。

本当に、ただ先方と顔合わせして、印鑑をついてくるだけなのだ。

アリューシャのおやつの時間には、帰ってこられるだろう。

「だからアリューシャ、それまで良い子に待っててね」

「うーい。行ってら」

「うん。行ってきます」

私は何も気にすることなく、いつも通り自分の執務室を出て、取引先に向かった。
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