The previous night of the world revolution5~R.D.~
これ以上時間をかけて、一回りも年下の女と結婚させられるなんて御免だ。

両親みたいに、愛人を囲うつもりもない。

だから、その前に。









「…ねぇ、セカイさん」

「んー?」

「僕達って、婚約済みでしたよね」

「だね」

うん。

「結婚しません?今」

「…」

突然のプロポーズに、セカイさんは驚いて目を見開いた。

…風俗店の個室なんていう。

こんな、ロマンチックさの欠片もない場所でプロポーズされるのは、女性として屈辱かもしれないが。

現状、二人きりで会えるのはここだけなので。

ここで言うしかない。

「…ルーチェス君…」

驚いてるのか、悲しんでるのか、喜んでるのか。

セカイさんは愕然として、僕を見つめていた。

…その顔の意味するところは、何なのやら。

「…まだ早いですか?」

「そ…そういうことじゃなくて…」

「何か?」

「…ほ…本気、なの?」

あ?

「本気で…結婚って…」

「僕は、いつも本気ですけど」

「…」

冗談で言ってると思ってたのか。

とんでもない。

「な、何で私なの…?ルーチェス君、賢いし…お金持ち、なんでしょ…?他にも良い子が、一杯…」

いつもの、お姉さん気取りな態度は何処へやら。

なんと頼りない話し方をするのか。

「そうですね。僕に『相応しい』女性は、他にいくらでもいるのかもしれません」

この間会った、絵画と花が好きな、アルヴァール家のお嬢様とかね。

でも。

「それでも、僕が欲しいのはあなたです」

その他なんて要らない。

その他なんて、所詮その他でしかない。

僕が欲しい、唯一ではない。

「あなたと結婚出来ないなら、僕、一生独身で良いです」

一生エロ本のお世話になるよ。

それで良い。

「ルーチェス君…でも…」

「セカイさんって、僕のこと好きですか?」

「…!好きだよ。凄く…凄く好きだよ」

「ありがとうございます。僕も好きです」

それを聞いて、安心した。

これぞ、ずばり、相思相愛って奴だな。
< 434 / 627 >

この作品をシェア

pagetop