The previous night of the world revolution5~R.D.~
「申告してなかった分を再計算し直したら、ざっとこれくらいだね」

アイズが、書類をぴらっ、と差し出した。

奴らが誤魔化していた金額は、口にするのも憚られるような額だった。

おいおい。

すると。

「…ごめんなさい」

シュノさんが、申し訳なさそうに頭を下げた。

「?何でシュノさんが?」

「『アンタレス』はね…元々、私が管轄してた組織なの。今年から管轄が変わって、アイズに引き渡して…」

…あー…。

「どうも怪しいなと思って、私が個人的に調べてみたんだよ。そしたら黒だったって訳」

成程。

それでさっきから、シュノさんがしょんぼりとして…。

「私、全然気づけなくて…。ごめんなさい…」

「シュノさん…。元気出してください。そういうこともありますよ」

そんなに長い間俺達を騙していたってことは、余程狡猾に隠していたんだろう。

下部組織はいくつもあるのだから、一つの組織だけに目をつけるのは難しいだろうし。

気づけないのも無理はない。

「そうだよ。私でさえ、最初は半信半疑だったんだから」

アイズも、そう言ってシュノさんを慰めた。

アイズが半信半疑だったってことは、やはり、余程上手く隠していたらしいな。

気づけないのも仕方ない。

それでも、シュノさんは自分の責任と思っているらしく。

しょぼんとして、落ち込んでいるようだった。

あぁ…。可哀想に。

「…それで、その『アンタレス』はどうするんだ?」

シュノさんに気遣いながら、ルルシーが尋ねた。

「勿論、見逃すつもりはないよ。長年私達を騙してくれたツケは、きちんと払ってもらう」

「まさか、誤魔化してた分の金を返してもらって終わり、って訳じゃありませんよね?」

まぁ、そんな莫大な金額を、一括で払えるとは思えないが。

現実的な金額ではない。

「そうだね。これだけ長く騙してたんだ。返してもらうものを返してもらうのは当然として、その上で私達に反逆した罪の分、それなりの粛清は受けてもらう」

…ですよね。

こちとら慈善事業ではないのだ。

奴らにとって主君である、俺達『青薔薇連合会』を騙していたってことは。

それは、俺達に対する反逆だ。
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