The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルレイア

──────…『アンタレス』の拠点には、無数の屍が転がっていた。

「…!?」

噎せ返るような血の臭い。

床を染め尽くす血の色。

まさに地獄である。

「これは…」

倒れた構成員の中に、生きている者は見つけられなかった。

全員が、息絶えている。

まるで狙っているかのように、全員が喉元を掻き切られているのだ。

激しい出血も、そのせいだ。

首の動脈を切断されているから。

揉み合った形跡も何もない。恐らく、ほぼ無抵抗のまま、一瞬で殺されてる。

「…我々の他に、『先客』がいたようですね」

やられ役の雑魚キャラと言えど、仮にもマフィアとしての訓練を受けた構成員を、これだけの数、即死させたのだ。

相当の実力を持つ「先客」とお見受けする。

「死体がまだ温かい。まだこの中にいるかもしれない」

「ですね…」

シュノさんを一人で寄越さなくて正解だった。

どうなっていたことやら。

と、思ったそのとき。

上の階から、銃声が聞こえた。

「…!」

やはり、まだ戦闘は続いているようだ。

どうせこいつらは、俺達が皆殺しにするつもりだったけれど。

手柄を横取りされるのは、頂けない。

誰かは知らないが、俺から手柄を奪おうとは、良い度胸。

お礼をさせてもらわないとな。

「行きましょうか、上に」

「気を付けろよ、ルレイア」

「ルルシーこそ。シュノさん、後ろ、警戒頼みます」

「分かったわ」

何者かは知らないが、俺達三人を相手にして、勝てるとは思えない。

一体何者が…。

「…あ?」

死体を踏みつけ、血の海を走りながら、急いで上階に駆け上がると。

そこには、大量の返り血にまみれ、全身を赤く染めた…。

「…あぁ…あなたでしたか」

『アンタレス』の構成員が、抵抗も出来ずに瞬殺される訳だ。

相手は他でもない、俺の弟子なのだから。
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