The previous night of the world revolution5~R.D.~
本当は、色々ゴタゴタと面倒臭いことがあったのだが。

それらを全部割愛して。

結局、何が起きたのかというと…。僕が全部責任を負って、王室を出ていくことで解決した訳だ。

まぁ、始めからそれを狙っていたんだけど。

引き留めようとする者は多かった。

だって、放蕩皇太子と言えど、僕がいなくなったら、女王アルティシアに何かあったとき、国王を継ぐ者がいなくなる。

何とか取り成して、皇太子がマフィアと関わりを持った事実を揉み消そうと画策してくれた人もいるのだが。

僕は、それらの全てを断った。

こそこそするつもりはない。

嘘をつくつもりはない。

大体、国王になるつもりもない。

だったらこれを機に、きっぱり王室とは縁を切りたい。

母は強硬に反対したし、この親不孝者、とか何とか喚かれたけれど。

あの人に何を言われてもな。今更心には響かない。

僕の意志が頑なだったこともあり、僕は王位継承権を放棄し。

かつ、王族としての権利の全てを返した。

これで僕は、晴れてベルガモットの名前を捨て、一般人になった訳だ。

名字どうしよう?

王宮を出ていく日、僕は長年住んでいた私室をぐるりと見渡した。

今日で、この部屋ともお別れだ。

不思議と、寂しさとか、後悔はないのだ。

むしろ、ようやく重い肩の荷物を降ろせるような…そんな気がする。

「さて…じゃあ、行きますか」

部屋くらい、ちゃんと片付けて出ていきたかったが。

そんな時間もないので、仕方がない。

心苦しいが、このままにして出ていくしかない…。

…と、思っていたら。

「…もうお行きなさるですのか、殿下」

「…レスリー…」

部屋を出ようとした僕に、執事のレスリーが声をかけた。
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