The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルーチェス

──────…王宮を出て、『青薔薇連合会』に来てみれば。

何故か、歓迎ムードであった。

ブローチまで渡されて。

「…?何がですか?」

「いや、何がって…。聞かないんですか?僕が何でここに来たのか…」

「?別にそんなの、理由なんて必要ないでしょう?自分の職場に来るのに、何の理由が必要なんですか」

…職場?

職場だと?ここが?

「…僕、ここに居させてもらおうかと…『青薔薇連合会』に加入させてくれって頼もうと思って…来たんですけど」

「へ?何を今更。あなた、もうとっくに『青薔薇連合会』の一員じゃないですか」

…え。

もうとっくに、『青薔薇連合会』の一員?

僕が?

「『アンタレス』襲撃に協力してくれましたし、何より俺の弟子ですから!」

「…!」

「アシュトーリアさんからの許可ももらってますよ?『あら、良いわよ~』って言ってくれました」

…仮にも、元王族を。

「あら、良いわよ~」の一言で、組織に迎え入れるとは。

さすが『青薔薇連合会』の首領。懐の広さが、僕の姉とは大違い。

「…良いんですか?皆さんも」

僕は、他の幹部達に尋ねた。

聞いておかねばなるまい。

一応、僕は王室…強いては、帝国騎士団側の人間だった。

ルレイア師匠にとっては、自分の人生を狂わせた女の弟でもある。

そんな人間を…。

しかし。

「私は良いと思うよ。何より、ルレイアやルリシヤ並みに強い人間が、もし万が一敵に回ると、厄介極まりないからね。味方に出来るのなら、そうしたいに決まってる」

「アリューシャは元々、そういうのあんま気にしねぇからなー。そもそも幹部組って、元々は『青薔薇連合会』の敵だった奴多いし」

…そういえば、そうか。

『青薔薇連合会』幹部達の経歴は、以前調べさせてもらったが。

ルレイア師匠、ルリシヤさん、アリューシャさんは、元々『青薔薇連合会』と敵対する組織に所属していたんだっけ。

アリューシャさんの元所属組織については、何故か不自然なほど情報がなかったのだが…。

「私も良いと思うわ。ルレイアが信用してる人だし…。彼の実力は、『アンタレス』と戦ったときに見せてもらったもの。充分、戦力になるわ」

「俺も賛成だ。元仮面仲間の縁もあるし、俺もそろそろ末っ子を脱したいと思っていたところだったからな」

…シュノさんと、ルリシヤさんまで。

シュノさんはともかく、ルリシヤさんは、僕と一戦交えた上で、この発言。

この人の懐の広さも、半端ではない。

「ね、ルルシーも良いでしょう?」

「…そうだな」

最初会ったときは、敵愾心剥き出しだったルルシーさん。

絶対にお前に心を許してやるものかと、鬼のように睨まれていたのに。

「信頼出来る…背中を預けるに値する仲間だと思う」

…。

…そうか。

「…ありがとう、ございます」

僕、ここにいて良いんだ。

生まれとか育ちとか関係なく。

ここに、居場所を与えられたんだ。

「ようこそ、我らが『青薔薇連合会』に」


< 462 / 627 >

この作品をシェア

pagetop