The previous night of the world revolution5~R.D.~
《出会い編》



新婚生活は、二日目にして、なかなか波乱万丈であった。




新居で、初めて二人で摂る朝食の場にて。

「…」

「…え、えへへ…。美味しいね、ルーチェス君のご飯…」

「…」

「…怒ってる?」

「いえ、怒ってはないですが…」

ちょっと、朝から刺激的だなぁと思っただけで。

「…まさか起き抜けに、炎上するキッチンを見ることになるとは…」

「うぅぅ…」

目玉焼きを爆発させたことがある、とは聞いていたが。

あのエピソードは、伊達ではなかったようだな。

僕の気持ちが分かるだろうか。

寝起きで、妻の「きゃー!」という叫び声を聞き。

何だ幽霊でも出たか、と駆けつけてみると。

キッチンが、燃え上がっていた。

比喩じゃないぞ。

本当に燃えてた。

もしかしてこれは、新種の暖房器具か何かなのかと、五秒くらい考えた後。

とりあえず、消火。

あれだけ派手に燃えたにも関わらず、セカイさんは無傷だった。

被害は最小限に抑えられたということで。

大事に至らなくて良かった。

「だ、だって…。夢だったんだよ!新婚で、旦那さんに朝ご飯作ってあげるの!だから、目玉焼き作ろうと思って…」

「…」

出来上がったのは、消炭以外の何物でもなかったよ。

仕方ないので、消火作業の後、僕が朝食を作った。

料理極めておいて、本当に良かった。

「ちょ、ちょっと失敗しちゃって…」

「…」

あれが「ちょっと」の失敗だったら、大失敗したときは、マンションごと倒れるな。

逆に凄くないか?僕の嫁。

「…セカイさん、本当に料理苦手なんですね」

「うぅ…」

「良いですよ、あなたは料理しなくても。その為に僕が料理を練習したんですし。僕が作るので」

「で、でも。私専業主婦でしょ?家事は私の仕事じゃん!」

そういうもんか?

今時、男でも料理するもんだと思うけど。

「そう言われても…食事の支度をする度に、キッチンを炎上させられても困りますし…」

「あぅ…」

「じゃ、料理以外。料理以外お願いしますよ。それで良いでしょう?」

「うー…。分かった…。ルーチェス君がいるときに、私も料理練習する…」

「燃やさないでくださいね」

「もう言わないでよ、馬鹿ぁ!」

あ、ごめんなさい。
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