The previous night of the world revolution5~R.D.~
今日から…と言うか、厳密には任命されたのは昨日らしいのだが。

名前は、ルーチェス・アンブローシア。

役職は、特務諜報員という、耳慣れないものだった。

噂によると、あのルーチェスという青年、以前『青薔薇連合会』に単身乗り込み、ルリシヤさんとタイマンを張った、例の狐面の男だとか。

俺も、あの戦いのときは部隊を率いて待機していたが。

まさかルリシヤさんと真っ向勝負出来る手練れの正体が、あんなに若い青年だったとは。

世の中、分からないものである。

しかもその人が、『青薔薇連合会』に入った。

ルリシヤさんに匹敵する力を持つということは、間違いなく幹部になれる実力の持ち主のはず。

それなのに何故か、彼は幹部ではなく、特務諜報員という不思議な役職をもらっていた。

これには、俺を含め、部下達も首を傾げていた。

てっきり、七人目の幹部爆誕だと思っていたのに。

そうでなければ、せめて俺や華弦と同じ、準幹部とか…。

だが、彼の役職についての説明は、一切なかった。

説明がないということは、俺達は知らなくて良い事情があるということだ。

敢えて聞く必要もない。

とにかく俺は、彼がそんな高い実力の持ち主なら、いつか直接稽古をつけてもらえないだろうか…。さすがに無理か…なんて思うだけだった。

俺はルルシーさんの派閥の準幹部。

ルーチェスさんは特務諜報員。

特に任務を共にすることもないだろうし、会えば挨拶くらいはしても、それ以上の接点は持てないだろう。

そう思っていた。
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