The previous night of the world revolution5~R.D.~
…なんか。

聞き覚えがある…ような。

ない…ような。

…やっぱりある。

「?どうしました、ルヴィアさん」

「いや…」

…まさかな。

まさか、いや、そんなはずはない。

だって、ルリシヤさんと真っ当に渡り合えるような人だぞ?

おまけに、風の噂によると、あのルレイアさんの弟子だとも聞いた。

そんな人が、まさかこんなマンションに。

いやまさか…。まさかな。

うん、きっと同姓の…違う人だ。

そうに違いない。

「知り合いなんですか?」

「まさか…。喋ったこともないよ」

そんな畏れ多いこと、出来るものか。

『青薔薇連合会』の幹部組は、皆優しくておおらかな気質をしているけども。

もしかしたらルーチェスさんは、他の非合法組織の幹部がしばしばそうであるように。

権力と暴力に物を言わせ、部下を手駒のように扱うタイプかもしれない。

もしやルーチェスさんが幹部に任命されず、『裏幹部』として別の役職についたのは、そういうルーチェスさんの性格故かもしれない…。

なんて、余計な勘繰りを入れている部下も、ちらほらいた。

大体ルーチェスさんが既婚なんて、そんな話は聞いてないぞ。

俺より若い青年だっていうのに。

まさかそんな…。

…まさか、な。

うん、きっと同姓の別の人だ。





…と、自分を納得させていたのだが。

その翌日。



< 483 / 627 >

この作品をシェア

pagetop