The previous night of the world revolution5~R.D.~
そ、そんな。

俺の、愛しいフューニャが。

俺を見て、どうでも良さそうに「あぁ、ルヴィアさんですか」なんて。

もう帰ってきたのかお前、みたいな、うんざりした顔で。

俺は…帰ってきてはいけなかったと言うのか…。

がくん、と膝をつく。

半泣きであった。

「…何をやってるんですか?」

「フューニャに…フューニャに嫌われた…。フューニャに…」

「別に嫌ってませんよ。お帰りなさい。ご飯出来てますよ」

俺は、ハッとして顔を上げた。

「…帰ってきて、良いの?」

駄目だって言われたら俺、玄関の前に段ボール敷いて寝るけど。

しかし、フューニャは。

「良いに決まってるでしょう…。誰の家ですか、ここは」

「…!」

良かった。

てっきり、飽きられてしまったのかと…。

フューニャに捨てられたら、俺、もう生きていけない。

「フューニャ…。フューニャぁぁぁ」

「はいはい、もう…。こんな情けない夫は、あなただけですよ」

情けなくてごめんなさい。

でもフューニャが好きだから、俺。

「今日はデザートもあるんですよ」

「デザート…?」

「えぇ。お隣さんが持ってきてくれたんです」

…お隣さん、だと?

「それってもしかして…ルーチェスさん…アンブローシアさん家?」

「えぇ、そこの奥さんが今日、昼間持ってきてくれたので、お茶してお喋りしました。女子会です」

そうだったのか。

良いなぁ、女子会…。二人でどんなこと話してたんだろう。

亭主の悪口で盛り上がってたとか?

…笑えない。

それにしても、ルーチェスさんの家から贈り物とは…。あまりにも畏れ多くて、手をつけて良いのか分からないな。

でも、食べずに捨てるのも勿体ないか。

「昼間、私も少し頂きましたけど、美味しかったですよ」

「そうか…」

明日になって、「味どうでした?」って聞かれたら困るし。

やっぱり、俺も頂くとしよう。

有り難く頂戴します、ルーチェスさん。
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