The previous night of the world revolution5~R.D.~
しかし、あれだな。

このコードレス掃除機ってのは、良いものだな。

もうこれ一つで、世界が救えるんじゃないかと思えるほど便利。

軽いし小回り利くし、超便利。

吸引力も抜群。

こんな文明の利器があったら、思わず掃除が楽しくなってしまう。

なんて思いながら、鼻唄混じりに掃除機をかけていると。

「あー!ルーチェス君が掃除してる~っ!」

あー、びっくりした。

いきなり声かけないで。

「何か問題が?」

掃除しなくて怒られることはあっても、掃除して怒られることがあるとは。

世の中不思議なもんだ。

「何でルーチェス君が掃除するのよ~!」

「何でって…。掃除は分担でしょう?」

「料理に加えて、掃除までルーチェス君がしちゃったら、私の立つ瀬がなくなるじゃない!」

立つ瀬って…。

「私がやるから、ルーチェス君は何もしなくていーの。王子様だった頃のことを思い出して、優雅にお茶でも飲んでて良いのよ」

「はぁ…そうですか」

セカイさんは、僕の手からコードレス掃除機を奪い取った。

ちょっと楽しかったんだけどな、掃除機…。

それに僕、皇太子だった頃も、やれ授業だ稽古だ公務だ、エロ本だ脱走だと、色々忙しくて。

あんまり、優雅にお茶でも飲んでる時間はなかったんだけど。

まぁ良いか。

折角セカイさんがやる気を出して、自分がやると勇ましく宣言しているのだし。

ここは、彼女に任せよう。

「じゃあ僕、寝室でのんびりしてるので」

「そうそう、それで良いのだよ。物分かりの良い弟は好きだぞ~」

何故か、よしよし、と頭を撫でられた。

「掃除終わったら呼んでください」

「はいよ~。セカイお姉ちゃんに任せなさい!」

僕は掃除任務をセカイさんに託し。

自分は寝室に戻って…特にやることもないのでとりあえずエロ本でも読むか。





…と、思っていると。



「きゃーっ!」

セカイさんの悲鳴と共に、がらがらがっしゃーん、と悲惨な破砕音が、部屋中に鳴り響いた。

こうなったら、もうエロ本どころではない。

僕は慌てて立ち上がり、寝室を飛び出して、音のしたダイニングに向かった。

「…!?」

そこには、目を疑うような悲惨な光景が広がっていた。
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